063：勘違いなんかじゃない ページ14
-ソヌside-
太陽が1番高く上って日差しの暑いお昼ごろ、
寝坊して朝練をすっぽかし、午後からの練習に間に合うよう家を出た俺。
汗をかきながら自転車を漕ぎ進めていると前の方に学校へ向かうAの姿が見えて
「A!!」と呼びながら自転車をおりて駆け寄ると、クルッとAが振り向いた
「あれっ何してるの?こんな時間に」
SN「俺は寝坊、Aは今から?」
「うん、もうすぐ夏休みも終わるから
ちゃんと課題仕上げなきゃね」
そうAが言う通り、夏休みもなんだかんだで後一週間を残すだけ
SN「もう夏休みも終わりかぁ…
結局遊びに行く時間なかったな」
「本当だね、海行きたかったなぁ…」
SN「ごめんな、俺らが部活で
なかなか時間取れなくて」
「ううん、部活なら仕方ないし
私だって家の用事で
時間合わせられなかったりしたから」
夏休みが始まる前にまた3人で遊びに行こうと約束したのに、
3人の予定がなかなか合わず結局一度も遊びに行く事が出来なかった夏休み。
それを仕方ないと言いながら力なく微笑むAは何だか元気が無いように見えて、
でもそれは今日だけじゃなく、最近はずっと元気がない。
気のせいかなとも思ったけどそうじゃなさそうで、
わざと明るく振る舞おうとするAの態度に俺は違和感を感じていた
SN「Aさ…なんかあった?」
「…え?なんかって?」
SN「…なんかって……なんかだよ」
「ハハッ何それ、何もないよ」
ほら、そうやって無理やり笑ってるのに何もないわけがない。
でも笑いながら「ソヌの勘違いだよ!!」なんて言われたらもうそれ以上は何も言えなくて、
俺は問いただしたい気持ちを押し殺した
SN「あのさ…今日一緒に帰んない?」
「え?どうしたの急に」
SN「いや何となく…最近3人で帰ってなかったし
遊びには行けそうにないから
それくらいはいいかなと思って」
「うん…私は別にいいけど」
SN「じゃあ門の前で待ち合わせな!!
部活終わったらすぐ行くから」
「うん、分かった」
元気が無さそうなAが心配だった俺は
なるべく近くに居たくて無理やりな理由をつけてそんな約束を取り付けた。
久しぶりに3人で帰れば、きっと元気を出してくれるかと思ったから…
でも今思えば、この時一緒に帰ろうと誘ったのは間違いだったのかもしれない
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
