059：ひねくれた感謝 ページ10
夏休みも中盤を過ぎた頃、私は今日も課題の為に家庭科室に入り浸ってる。
でも作っているのは課題じゃなくソヌに頼まれたマスコットで、
「よしっ出来た!!」と声を上げた私はそそくさと荷物をまとめて体育館へと向かった
「ちょっと早かったかな…」
そろそろバスケ部も終わって帰る頃だと思い、
作ったマスコットを握りしめながらバスケ部の部室が見える所でソヌを待つ私。
ソヌを待ちながら何だか妙に緊張するのは、自分が作った物を気に入ってもらえるか不安だから…
誰にあげるにしてもやっぱりこういう瞬間はドキドキするものだ
「あ、ソヌっ」
部室から出てくるのが見えて私が手を振りながら声をかけると
「…A?そんな所で何してんだよ」なんて少し驚きながらこっちに歩いて来るソヌ
「待ってたの!!」
SN「え?…あぁ…
ジョンファンならもうすぐ…」
「そうじゃなくて!!…はいっこれ」
私は勘違いしてるソヌの声を遮ってマスコットを差し出した
「約束してたマスコット!!
さっき完成させたからすぐ渡したくて」
SN「おぉー!!すげぇ…すげぇじゃん!!」
差し出したマスコットを受け取り嬉しそうに眺めるソヌを見ながら
「へへっ、上手いでしょ」と鼻高々にする私に
「Aにも特技あったんだな!!」なんてニヤリと笑ってけなすソヌ
「ちょっとなにそれっ、失礼な!!
私だって得意な事くらいありますー」
SN「ハハッ、嘘嘘。マジですげーよ、
めちゃくちゃ可愛いし。
でもさぁ…なんでリスなわけ?」
まじまじとそれを見つめるソヌが言う通り、
私が作ったのはリスがﾊﾞｽｹｯﾄﾎﾞｰﾙを持っているマスコット
「だって、なんかソヌってリスっぽいから!!」
SN「えー!?そうかぁ??」
「どこが似てんだよ」なんて文句を言いながらマスコットを自分の顔に近づけるソヌに
私が「やっぱり似てる」と笑って返すと
「俺がリスっぽいって…」とか何とかまだ文句を言いながらも、ソヌはすぐ鞄に付けてくれた
「うん、いいねぇ!!凄く可愛い!!」
SN「自分で言うなよ」
「いいじゃんっ」
SN「まぁ…Aにしては上出来」
鞄に付けたマスコットをこれでもかってくらい素敵な笑顔で眺めるソヌは
誰がどうみても嬉しそうに見えるのに
ただ一言“ありがとう”って言えないソヌは本当に素直じゃないって思う。
でもどんな言葉をもらうよりもその顔を見れただけで
作ってよかったなって、そう思えた
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
