好きな人には他に好きな人が居ます 2 (ページ8)

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057：残酷な笑顔ページ8

-ソヌside-

SN「そろそろ行くか…」

10分過ぎたら帰ろうなんて考えてたけど、よく考えてみたら俺は自転車で2人は歩き、
追いついてしまったらマズイと思い15分経ってから立ち上がった。
駐輪場で静かに自転車に跨りこぎ始める、
こうやって1人で帰るのは久しぶりかもしれない

SN「まぁ…たまには悪くないか」

強がりにも聞こえる様な事を呟きながら感じる心地のいい風、
そんな風に吹かれながら俺が考えていたのは
2人は一緒に帰れたのか、どんな話しをしたんだろうかって事…
正直凄く気になるけど俺には関係のない話し、
そう自分に言い聞かせながらも1人だけ取り残されているようで、俺は少し寂しさを感じていた。
俺が転校してくる前はいつも2人で帰ってたって、いつかジョンファンに聞いた事がある。
その時はどんな事を話してたのか、どんな雰囲気だったのか、
そんな事を考えたら切りがないけど、あの2人には俺の知らない時間が流れてるんだって、
そう考えると寂しいような悔しいような、自分でも凄く複雑な気分だ

SN「……?」

下らない事を考える自分に呆れながらいつもの道を通り過ぎようとした時、
何か分からないけど何かが気になったような気がして俺は自転車のブレーキをかけた。
一体何が気になったのか確かめる為に自転車を押しながら少し後ろに下がって行くと
道路と歩道の段差にポツリと座り込むAが…

SN「……え、A?」

「…あっ!!ソヌ!!」

俯くその姿に声をかけると、すぐに顔をあげたA。
満面の笑みで笑っているけど、その顔はなんだか泣いた後の様な目をしてる

SN「…ってか、何やってんだよ」

こんな道端に座って何やってんだって一瞬は思ったけど、
俺は気づいたんだ…Aが座っていたその場所は、ジョンファンの家との分かれ道なんだって

「ソヌ待ってた!!」

SN「は?」

「だから、ソヌが来るの待ってたんだって。
　職員室寄って帰るって聞いたから
　もうすぐ来るかなーと思ってさ」

SN「待ってたって…
　そんな分かりにくい場所に居て
　気づかなかったらどうすんだよ」

「うーん…それは考えてなかったな…
　ソヌなら気づいてくれると思ったから」

SN「……」

Aのこういう所、ちょっと残酷だと思う。
フラれたはずなのにまた期待しそうになってしまうから…
でもやっぱりそう言われると嬉しくて、
気づいてよかった。なんて俺は胸を撫で下ろしていた

　