098：今なら… ページ49
しばらくうろついてみたけど目ぼしい物も無く、
何となく空いていたベンチに座り込んだ私とソヌ。
一息ついた目の前には大きな観覧車がゆっくりと回転していて、
乗ってみたいな…なんて事をほんの少しだけ思ったけど、
ソヌと2人で乗るのは何か違うと思い黙って眺めるだけにした
SN「これからどうする?」
「うーん…ちょっと時間潰して戻ろうか?」
SN…そうだな」
ため息交じりにそう言って、空を見上げたソヌとの会話は弾まない…
それもそのはず、だって遊園地に来ようと言ったのはソヌでも私でもないから。
1日なんてあっという間に過ぎると思ってたけど
時計の針はなかなか思うようには進んでくれなくて、
私は後何回こんな日を過ごさなきゃいけないのか…なんて事を考えていたら、急に襲って来た不安感。
その不安は、こんな1日を過ごさなきゃいけない事に感じたんじゃない、
こんな1日すら過ごせなくなる時が来るのかも…って、考えたら怖くなった。
だって、もし先輩とジョンファンが付き合うなんて事になったら
私はもうジョンファンと一緒には居られなくなるわけで、
こうやって一緒に遊ぶ事すら、簡単には出来なくなってしまう…
まだ大丈夫だよって自分で自分を慰めるけど、不安は大きくなるばかり。
だって…2人は両思いなんだから…
「ソヌ…」
SN「…ん?」
ソヌは答えを求めちゃいけないって言ってた、告白は自分の気持ちを伝えるもんだって。
…私は今、答えが欲しいんじゃない、ただ今の状況を変えたいだけ。
何かを変えるには自分から告白するしかないんだって思ったら、
ソヌが言ってた“勢い”ってやつが分かってきた気がした。
今の私なら勢いでジョンファンに好きだって言えそうな気がする…って。
「私…ジョンファンに告白してくる」
SN「えっ…いきなりどうしたんだよ」
私の言葉に目を大きくして驚いた後、戸惑いを見せたソヌ。
私の一大決心に曇った顔をしているのは分かったけど、自分の勢いが無くならない内に、
「今なら言えそうな気がする」と私はジョンファンの元へ走った。
そして息を切らしながらさっきのベンチまで戻ると、座って話しをしてる2人の姿が見え、
息を整えながら少しづつ近づいてジョンファンを呼ぼうとした瞬間聞こえた声…
JF「先輩が好きです…」
「僕と付き合ってください」なんて言うジョンファンの言葉に小さくうなずく先輩の姿が見えて、
私はただ静かに立ち尽くすしかなかった…
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作者名：のん | 作成日時：2016年5月17日 21時
