007：1人歩く帰り道 ページ7
好きな人が出来たんだ…
好きな人が出来たんだ…
好きな人が出来たんだ…――――。
何度も何度も頭の中で繰り返されるジョンファンの言葉。
ジョンファンと別れ1人になった私は、さっき起きた出来事を思い返し
歩きながら泣きそうになっていた。
「……はぁー…」
好きな人は居るかって聞かれた時
もしかしたら告白されるのかもしれないって淡い期待までしたのに
そんな幸せなドキドキを味わったのは束の間で
一瞬にして奈落の底に落ちていった私の心。
本当に…数十分前までの私の幸せな時間を返して欲しいくらい…
「…最悪…」
1人で歩きながら、このままここに座り込んで泣いてしまおうか
なんて思ってしまうくらい落ち込んだけど
さすがに道端で泣くのは恥ずかしいと
私は必死に家までの道を歩き続けた
「なんだよっ……」
ジョンファンの奴……
急に好きな人なんて…酷過ぎるよ
本当に…本当に…涙が出るじゃん……
「…っ…」
泣くのは家に帰ってからだって、そう決めてたのに
歩く度にぽろぽろと流れ落ちていく涙。
…ずっと私が1番だと思ってた、
ジョンファンに1番近いのは私だって
だから今のままでいいって、そう思えたのに…
私はどうして今まで気づかなかったんだろう
あんなにいつもジョンファンと一緒に居たのに
好きな人が居たなんて気付きもしなかった。
何にも知らない、何も気づかない、そんな自分に腹が立つ
「ジョンファンの…バカヤロウっ…
ジョンファンのくせにっ…
ジョンファンのくせにっ…」
ジョンファンのくせに私を泣かせるなんて100年早いんだ…
あまりの苛立ちにそんな理不尽な想いを繰り返し呟き
矛先の無い悔しさから溢れる涙を拭いながら
私は歯を食いしばり、ギュッとカバンを握る手に力を込めた。
「っ…」
?「おわっ!!」
「キャッ」
“キーッ ガチャンッ―――――”
重たい心を引きずりながら悔し涙を流し歩く私の目が
涙で霞んでちゃんと見えていなかったせいか、
家までの最後の曲がり角に差し掛かった瞬間
飛び出してきた自転車と危うくぶつかりそうになり
ガシャンと大きな音がした後、一気に静まり返ったその場の空気。
私は自転車を避けようとした弾みで足を絡ませ、その場に倒れ込んだ
「いったぁ…」
何が起こったのかと閉じていた目をそっと開くと
涙で霞む私の目には横転した自転車が…
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作者名：のん | 作成日時：2016年2月12日 20時
