049：オレンジの空 ページ49
「ソヌはさ、最初私に会った時どう思った?」
丘の上から長い階段を下りながらそう尋ねると、
唐突過ぎるその質問に「は?」と振り向いたソヌ
SN「最初?」
「うん、自転車で私とぶつかったでしょ?」
SN「あー…変な女だなって思った」
「はぁ!?何よそれっ」
SN「泣いてるのに怒ってて変な奴ーって」
「…あっそ!!」
ニヤニヤしながらバカにする様な事を言うソヌにムカついて
私は怒りながらソヌを追い越して階段を駆け下りた。
私からした質問だし、言われてみればその通りなんだけど、
悪意のある言い方になんだか腹が立つ
SN「Aはどうなんだよ」
「え?」
SN「俺と初めて会った時どう思った」
「……覚えてない」
SN「はぁ!?お前こそ何だよそれっ」
「だって本当に覚えてないんだもん!!」
そんな私の言葉に「信じらんねぇ」なんて怒ってるソヌだけど、
あの時は泣いてて顔なんて見てなかったから印象なんて覚えてるわけがない
「あ、でも玄関の前で会ったのは覚えてるよ」
SN「そりゃ覚えてるだろ」
「カッコイイなって思った」
SN「は?」
「結構カッコイイ人だったなって思ったよ」
SN「…ふーん」
興味無さそうなフリして返すこの返事は、きっと照れ隠しの「ふーん」。
本当は嬉しいくせに、顔に出さない様にしてる姿が可笑しくて笑えてくる
SN「よしっ、一気に帰るぞ!!」
長い階段を下り終わると、自転車に跨りながらそう言ったソヌ。
こんな急な坂を自転車に乗って下るなんて恐ろし過ぎて嫌だと抵抗したけど、
ソヌは「良いじゃんスリリングで」なんて笑いながら嫌がる私を無理やり自転車の後ろに乗せた
「ゆっくり!!ゆっくり行ってよね!!」
SN「はいはい。
行くぞっ!!ひゃっほ〜〜!!!!」
ソヌの返事は本当に当てにならなくて、
私の言葉を無視して勢いよく自転車を漕ぎだすから
あまりの速さに怖くなった私はギュッと目を閉じてソヌの腰に回した手の力を強めた
「キャーーーーー!!!!!!!」
SN「A!!目開けてみろよ!!」
「そんなのムリぃ〜!!!!!!」
SN「いいから早くっ」
そう言われて恐る恐る目を開くと、そこには坂の上から見える街の景色と綺麗な夕日があって、
濃いオレンジ色の夕日に目を奪われ恐怖感なんてどこかへ行ってしまった私。
ソヌが居なかったら私は、こんな景色には一生出会えなかったかもしれない…
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作者名：のん | 作成日時：2016年2月12日 20時
