035：恋は盲目 ページ35
「これじゃ…気合入れすぎかな…
でもこれじゃカジュアルすぎるし」
クローゼットに入っていた服の殆どがベッドに投げ出され、
鏡の前に立ってはあれもダメこれもダメの繰り返し。
もうすぐ家を出なきゃいけない時間なのになかなか洋服が決まらず、
普段はあまり着ない花柄のスカートを手にもう一度鏡の前に立った
「これにしようかな…
って、デートじゃないんだから」
自分に呆れながら一言吐き捨てて、スカートからジーンズに着替えた私。
そうだ、今日はデートなんかじゃない…あくまでもジョンファンの買い物に付き合うだけ。
そう自分に言い聞かせてスカートはやめたけど、
玄関に立った瞬間、やっぱり少しは可愛く見られたいなんて魔がさして
私はいつものスニーカーを脱ぎ捨て、履き慣れないサンダルをはいて玄関を出た
「…早すぎたかな」
待ち合わせの駅前に着いてもまだ2人とも来てなくて、時計を見てみるとまだ約束の15分も前。
ソワソワし過ぎて早く到着してしまった自分に心の中で笑いながら
日陰に移動して2人を待っていると、
少し遠くにジョンファンに似た人影が見え、目が合うと向こうも私に気付いたらしく
「A〜〜!!」と笑顔で手を振りながら走ってくるジョンファン
JF「おはよう!!ごめん遅くなって」
「おはよ、まだ約束の時間前だよ。
私が早く来過ぎちゃっただけ」
JF「あっ本当だ、あと5分あった
…あれ、ソヌは一緒じゃないの?」
「うん、私出るの早かったから。
もうすぐ来るんじゃないかな」
ソヌが居ないか辺りを見渡しながら私がそう言うと
「そっか」と、日陰に居る私の隣に並んだジョンファン。
学校では毎日の様に会ってるけど、意外な事に休みに会うのは初めてで、
制服じゃないジョンファンが隣に居るのはなんだかちょっと変な気分…
初めて見るジョンファンの私服姿は、正直センス有るとは言えないけど、
でもそんな所すら可愛いと思う私はかなりの重症だ
JF「ねぇ、プレゼントどんなのがいいと思う!?」
「何買うか決めてないの?」
JF「色々考えたけど決まらなくて…
先輩に似合う可愛いのがいいんだけど」
日陰の壁を背もたれにしながら先輩の誕生日プレゼントを必死に悩んでるジョンファンを、
私はなぜか一周回って穏やかな気持ちで眺めた。
ジョンファンは先輩の誕生日は知ってるけど、
私の誕生日を知ってくれてるんだろうか…って、そんなの興味ないか…
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作者名：のん | 作成日時：2016年2月12日 20時
