030：ここに来た理由 ページ30
JF「あっA!!どこ行ってたの!?」
ようやく涙を止めて体育館へ戻るともう試合は終わっていたみたいで、
私を探しているジョンファンとソヌを見つけ笑いながら駆け寄った
「ごめんっ、ちょっとトイレに」
JF「もーいきなり居なくなってるから
ビックリしたじゃん」
「ハハッ、ごめんって」
JF「あ、Aちょっと待ってて!!」
「え?あぁうん…」
「動かないでよ!!」と言ってどこかへ走って行ってしまったジョンファン、
どこへ行ったのか首を傾げながらも
私は言われた通りにその場に立ち、さっきから黙ったままのソヌに話しかけた
「2人とも活躍してたね
ソヌも結構バスケ上手いじゃん!!」
肩を叩きながら話しかけた私に返って来たのは「あぁ」というソヌのそっけない返事、
こういう時いつもなら“俺だから当たり前だろ”とか言っちゃうくせに
今日は機嫌が悪そう…というか、元気が無さそうに見える
「…試合中なにかあった?」
SN「いや、別に…」
「…そう…」
会話が続かず沈黙が流れそうになった時「おまたせっ」とジョンファンの声が聞こえ
その声に反応して後ろを振り向いた私の視線に映ったのは
笑顔でこっちに向かうジョンファンと、その後ろに居るスヨン先輩だった
JF「ごめん待たせてっ
スヨン先輩の事紹介したかったからさ」
そう言ったジョンファンの後ろから
「はじめまして」と素敵な笑顔で私に笑いかけたスヨン先輩
SY「ごめんね急に、
ジョンファン君の話しを聞いたら
Aちゃんに会ってみたくなっちゃって、
会わせて欲しいって頼んだの」
JF「Aが試合来てくれて良かったよ、
先輩に会わせたかったから
今日は絶対来て欲しいと思ってたんだ!!」
「…あぁ、ははっ…そうなんだ」
私はこの状況にも、先輩の言葉にも、ジョンファンの言葉にも
どう応えたらいいか分からずただただ必死に笑顔を作った…
そしてやっと分かった、今朝ソヌが言った言葉の意味。
ジョンファンが私にどうしても来て欲しいって言ったのは、
私に応援して欲しいとか、来て欲しかったわけじゃない、ただ先輩に会わせたかっただけ…
その答えが分かった途端ここに居る自分が本当にバカに思えて
寂しいや悲しいを通り越して、なんだか可笑しくなってくる
SY「会えて嬉しい!!来てくれてありがとう」
「いえ…全然…」
私は…先輩のために来たんじゃない…
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作者名：のん | 作成日時：2016年2月12日 20時
