好きな人には他に好きな人が居ます (ページ28)

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028：思い込みページ28

-ソヌside-

笛が鳴ってもAの視線が気になって試合に集中出来ないで居る俺。
ちゃんと見てろって言ったのにAはジョンファンばかり見てるし、
それがちょっと腹立つし悲しいけど、Aの気持ちは知ってるから仕方ない。
それにジョンファンを見るAがあまりにも幸せそうな顔するから
それでもいいか…なんて思ってしまう自分に呆れてくる

「いけっ、いけっ!!やったーー!!」

ジョンファンへの声援だけがあからさまに違うAに吹き出る笑い。
そんなAの声援のおかげか、俺のパスが良かったのか、
ボールを受け取ると見事なシュートを決めたジョンファン。
体育館中に鳴り響く拍手の中ジョンファンが客席に手を振るから
てっきりAにかと思ったらどうやら違うみたいで、
ジョンファンの視線の先には俺の知らない人が居た

SN「誰に手振ってんだよ」

ジョンファンの肩に腕を置き同じ方向を見ながら聞いてみると
「スヨン先輩!!1つ上の先輩だよ」なんて答えが返って来て
「へー、美人だな」なんて適当に答えた俺の言葉に
あまりにも分かりやすく、そして明らかに焦り出したジョンファン

JF「び、美人だからって好きになるなよっ!?」

SN「…は?」

JF「だからっ!!スヨン先輩の事
　好きになるなって言ってるの!!」

SN「プッ、なんだよそれ、
　別にお前の彼女でもないのに」

JF「彼女じゃないけど…
　ぼ…僕の好きな人だからだから」

SN「……」

JF「誰にも言うなよ!!
　 Aしか知らないんだから!!」

SN「…Aは知ってんの?」

JF「うん、もちろん」

SN「……」

……てっきり、ジョンファンもAが好きなんだと思ってた。
ジョンファンには他に好きな人が居てしかもそれをAが知っていたなんて、
俺は少しも考えていなかったんだ。
でも今までのAの行動を思い出せば可笑しいと思う事も無くは無い、
ジョンファンと一緒に帰るのを嫌がったり、2人っきりになるのを避けたり、
でもそんなのは全部恥ずかしがってるからだろうって自分勝手に解釈したりして…
今までAの気持ちを分かってるつもりでいた自分が恥ずかしい

SN「…A…」

心配になってAを探してもさっきまで居た場所に姿がなくて、
辺りを見渡すと顔を伏せたまま体育館を出て行くAの姿が…
いつも笑顔だったAにあんな顔をさせたのは俺かもしれないと
俺は自分自身に腹を立てていた

　