024：丁度いい関係 ページ24
目の前で止まったソヌの自転車、
いつか見た事のあるその自転車を目の前にして
私はあの時を思い出し少しだけ笑いそうになった
「ソヌ自転車で来てるんだ」
SN「あぁ」
「へー楽そうでいいね」
何の気なしにそう言ってしまったのがいけなかったらしく
“「乗れよ」”と自転車の後ろを手でたたくソヌ
「えっ?」
SN「後ろ」
「い、いいよ、歩いて帰るから」
SN「乗れって、楽そうでいいんだろ?」
「いや、それはちょっと言ってみただけで」
そう言って断る私の言葉を聞きもせずに
“「いいから早く」”なんてソヌが急かすから
私は根負けして渋々自転車の後ろに跨った
「じゃあ…お願いします…」
私が後ろに乗ると勢い良く走り出した自転車。
フラれたばかりなのにソヌは平気なのかな…
もし私が逆の立場だったら絶対に絶えられない…なんて、
そんな事ばかり考えながら私は自転車をこぐソヌの後姿を見ていた
SN「ってか、A重たっ」
穏やかな上り坂に差し掛かると
ヨロヨロと自転車をこぎながらそんな事を言い始めたソヌ
「ちょ、そんな事ないもんっ
ソヌが体力ないだけじゃない!?」
SN「いや重いって、俺より重いだろ」
「何それ!!酷いっ!!!」
SN「本当の事じゃん」
「もーっ!!また言ったら許さないからね!!」
SN「プッ、そんなムキになんなよ」
「ちょっと!何笑ってんのっ……フフッ」
つい数分前まであんなに気まずいと思ってたのに
ソヌと話してたらあっという間に元に戻ってて、
それがなんだか可笑しくて、いつの間にか一緒に笑ってて…
自転車で感じる風と共に2人の気まずさまでどこかに飛んでいったみたい。
これからどうしようって正直困ってたけど
案外普通に話せそうで良かった…
やっぱりソヌとはこれくらいの関係の方が良い気がする
「乗せてくれてありがとう」
SN「おぅ」
家に帰り着きドアの前で“「じゃあまた明日」”
そう言って手を振り家の中に入ろうとした瞬間
「A」と私を呼び止めたソヌ
「…ん?」
SN「頑張れよ」
「…うんっ」
顔を伏せながら励ましてくれたソヌに
私は笑顔で小さく頷き家に入った。
今ソヌが言った“頑張れ”は、きっとジョンファンの事…
頑張るつもりで頷いてはみたけど、
私にはどう頑張ったらいいのか分からないや
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作者名：のん | 作成日時：2016年2月12日 20時
