好きな人には他に好きな人が居ます (ページ23)

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023：気まずい帰り道ページ23

窓から体育館が見える廊下の隅で、私はソヌの告白を断った。
告白されたのなんて初めてで
まるで漫画の主人公にでもなった様な気分だったし、
一目惚れしたなんて言われて嬉しくないわけがない。
もちろん顔が真っ赤になるくらい恥ずかしくもあったけど、凄く凄く嬉しかった。
ソヌの事カッコイイとは思うし、凄くいい人だろうなって事も分かるけど、
今の私は…他の人なんて考えられない…私が好きなのはジョンファンだから。

「気持ちは嬉しいんだけど
　ソヌとは友達で居たいなって…ごめん」

SN「いや…」

「……」

SN「もしかして…他に好きな奴居る?」

「…あぁ……うん」

SN「それって…ジョンファン?」

「えっ…」

今日学校に来たばかりのソヌが
どうして私がジョンファンを好きだって分かったのか、
凄く驚いたし不思議でたまらなかったけど、
ここで嘘つくのも可笑しいかなって私は素直に頷いた

SN「そっか…ジョンファンは知ってんの?
　 Aの気持ち…」

「ううん…知らない」

SN「そっか…そっかぁ……
　まぁ断られるかなとは思ったけど
　まさかあいつに負けるとは思わなかった」

そう言ってソヌは笑ってるけど
無理してる事くらい私にも分かる

SN「じゃあ…とりあえず帰るか」

「…うん…」

なんだか気まずい空気のまま再び歩き始めた廊下、
静かな廊下を歩きながら、私は悪い事をしてしまったなと反省していた。
だって、今思えば“友達で居たい”なんて残酷だったかもしれない…
好きな人に他に好きな人がいる気持ちは私にも痛いくらい分かるから
もし私がジョンファンに同じ事を言われたらって考えたら
きっとひどく落ち込んで、また何日も泣き続ける気がする。
でもだからって…私にはどうする事も出来ないんだけど…

「暗くなっちゃったね…」

SN「そうだな」

校舎を出て校門まで歩く道は暗いけど
それ以上に暗く感じてしまう私達の空気。
今すぐ“バイバイ”って手を振って帰りたいけど
家は同じ方向どころか同じ建物のお隣さんだから一緒に帰るしかない

SN「ちょっと待ってて」

「え…うん…」

すぐに戻ると言って走って行ったソヌが「おまたせ」と帰って来た隣には
なんだか見覚えのある自転車が一台…
私はそのソヌの自転車を見て、
あの時道でぶつかったのは本当にソヌだったんだと改めて実感した

　