002：3ヵ月前の春 ページ2
―入学式―
「やっば…遅刻っ」
入学式の朝、もう着いているはずの学校はまだ遥か彼方で
私は乱れる服装を構う余裕もなく猛烈に急いだ。
遅刻だからって寝坊をしたわけじゃない、
朝もちゃんと早く起きて余裕を持って家を出たのに
まさか道に迷っちゃうなんて…
「はぁっ…最悪っ…」
学校への緩やかな坂道を上り
息切れしながら口から出てくるのは後悔に塗れたそんな言葉だけ。
せっかくの中学の入学式、髪の毛だって綺麗にまとめたし
制服だってホコリ1つ付けずに来たのに
今はもうボロボロで泣きたくなるくらい…
何度も携帯で時間を確かめ、半泣き状態で学校へと向かう私。
その後ろから「おはよう!!」なんて煩いくらい元気な声と
バタバタと走る足音が聞こえ振り向いた
?「もしかして君も○×中!?」
「えっ?」
?「その制服、○×中学のでしょ!!」
「…そうだけど」
私の横には、走りながら話しかけて来る変な奴が。
同じ学校の制服着てるし“君も”って言ってたから
きっとこの人も同じ学校なんだろうって思ったけど
遅刻してるっていう心の焦りと
どうにもウザ過ぎる雰囲気が受け入れられず、
あまり会話を広げる事もなく走り続ける私に尚も話しかけて来るその人
?「ねぇ、入学式って何時からだっけ」
「えっ?…10時からだけど」
?「そっか。……ところで今何時?」
「10時12分」
?「えっ!?もう10時過ぎてるの!?」
「……」
馬鹿みたいに驚くその人に、
だから必死で急いでんじゃん。なんて思いながら
心の中で大きなため息を吐いていると
「じゃあもっと急がなきゃ!!」と私の手を握ったその人は
今までよりスピードを速め、緩やかな坂道を走り始めた
「ちょ…ちょっと…!!」
?「ほらっもっと早く!!」
そう言って私の手をグイグイ引っ張りながら走って
ようやく学校に到着したのは、それから5分後の事
「はぁ…はぁ…やっと着いた…」
?「先生っ!!良かった〜間に合った」
校門の前に立っていた先生を見つけて駆け寄ったけど
どうやら遅刻した生徒を待ってたみたいで
先「バカヤロウ!!何が間に合っただ!!
遅刻だ遅刻!!」
ビクッとする程の大きな声と凄い勢いで怒ってる先生。
確かに15分も遅れれば立派な遅刻だけど、
こんな先生が担任だったら嫌だななんて密かに頭を過ぎった
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作者名：のん | 作成日時：2016年2月12日 20時
