私には悪魔がついているⅡ (ページ10)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:473,966 hit

54 ページ10

そして今度こそトイレを出た瞬間、顔を引きつらせた私。

『あ…』

やばい、やばいよ。

どうしよう、聞かれたのかな。

「…」

そこには壁に寄りかかるようにして立っていた。

『む、向井さん』
向「あの…」

気まずそうに笑みを浮かべる向井さんに聞かれたんだなって分かった。

私はその雰囲気に耐えられなくなり下を向いたまま目の前を突っ切る。

すると、慌てたように足音が追ってきた。

向「Aちゃん！ちょっとまって！」

駆け足で私を追ってくる向井さん。

やだよ、格好悪すぎ。
こんなひどい顔見られたくないんだってば。

『来ないでください…』
向「それは出来ひん」

私は本当に耐えられなくなり走り出した。
全力で署を出る。

車に乗ろうと思ったがこのまま走りきるしかない。

が

向「待ってって！とまれ！Aちゃん！」
『なんでですか！追って来ないでください！！』

後ろを振り返ればそっちも全速力で追ってくる向井さん、
怖すぎる！！！！

ムエタイ！！！！！！(関係ない)

私は必至になって振り切ろうとヒールが折れるの覚悟でコンクリートを走る。
鞄もぶんぶん振り回しながら泣きたくなる思いでどこへ行くかも考えず闇雲に道を曲がる。

向「こら！Aちゃん！ほんまに怒るよ！？」

息を切らしながらそう叫ぶ向井さんにもう振り返る余裕はなかった。

.

.

.

結局向井さんには捕まるし、いろんなことがありすぎてパンク状態。
私の涙は止まることを知らない。

この2日で私は何度泣いた？
こんなに弱虫だったっけ。

向「Aちゃん、追っかけてごめん！謝るから泣かんといて」
『む、かい、、、さん』

ゆがんだ視界の中で困惑した表情の向井さんがおろおろしながら私を見つめている。
虚ろな意識で向井さんを呼んだ。

向「落ち着き？」

ポンポンと頭を撫でられた。
その繰り返しに少しずつ安心して涙はちょっと止まった。

『向井さん』
向「ん？」
『私、、、目黒が好きか嫌いか…で愛梨ちゃん…』
向「待て待て！ちょ、整理してからにしてや」

頷くと取り合えず場所変えよ、と立ち上がった向井さん。

『はい』

やっぱり大人、というか男の人なんだな。
向井さんってお兄ちゃんみたい。

前にもそんなことを思ったが再確認。

歩き出す向井さんの後ろをついていった。