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向「ラウ、Aちゃんと近すぎひん？」
そう呟くように言った向井さん。さっきまでの笑顔も可愛いかったのに更に可愛い笑顔で振り返ると
ラ「うるさい、康二くん」
『…』
向「ごめん、、、」
しょんぼりした顔で謝る向井さん。そんなのお構い無しにラウくんは力強く私を抱きしめた。潰れるんじゃないかってくらい力強く。
『ら、ラウくん力がっ』
ラ「あ、ごめんごめん！!って座って〜」
そういうと私と向井さんの背中を押し、有無を言わさずカウンターの席へと案内された。
小さく「個室が良かった」と呟く向井さんはラウくんのこの強引さには慣れているようだ。
私たちをカウンターに座らせるとラウくんはニコッと笑って
ラ「もう仕事終わったんでしょ？」
向「まぁ、終わったけど」
ラ「じゃ、飲んでも問題無しっと」
謎の無言の圧で私をみるラウくん。
目を冷やしながら２，３度首を縦にふった。
ラ「ママ、借りるよーっと…」
お酒を準備するラウくんをチラチラと確認しながら向井さんはこっそり私に耳打ちした。
向「ラウ、怒ると怖いから気を付けてね」
まるで実体験を語るかのような口ぶりに私は何かあったのか聞こうとしたけどやめた。
世の中の半分は聞かない方が幸せだっていうし…。
ラ「康二くん」
「『！？』」
後ろを向いているラウくんはいきなり口を開いた。
後ろを向いているため表情は分からない。
ラ「聞こえてる」
そう一言言っただけだったが、向井さんを黙らせるには十分だった。
向井さんはやっちゃったと言わんばかりに項垂れるとカウンターに突っ伏した。
そして。
向「もう涙おさまった？」
『はい、すみませんでした』
向「ん、大丈夫やで」
顔を私に向けた向井さんは少し微笑んでいて、私もそれにつられるように笑って見せた。
けど、すぐに見破られる。
向「作り笑い」
『う、、、』
そういってつねられた頬をつねってくる。
『いたいれす』
向「めめぐらいの作り笑いじゃないと俺は騙されへんで」
クスクスと笑う。やっぱりだめか。まだまだ修行が足りないな。
向「何があったん」
そう問う向井さんに、口を開こうとした瞬間。
ドン
ラ「はい、どうぞ」
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作者名：大谷
| 作成日時：2019年10月16日 11時
