29 ページ31
やばい、この状況はやばい。
立ち止まった目黒は私をゆっくりと振り返った。
蓮「ここならいい？」
『良いも何も、まだするなんて言ってません』
暗がりに見える目黒がいつにもまして大人ぽく見えて
不謹慎にもあんな事件のあとだというのにドキドキする自分。
署なのになにを考えているんだ。
必死に気持ちを仕事モードに切り替えようとするが真夜中で眠気も加担してかふわふわとした気持ちを抜け出せきれない。
蓮「言っただろ？？」
トン、そんな軽い音がしたと理解した時には私は背中に壁を感じてて。
目黒が目の前に立っていた。
これってまるで…。
蓮「あの時の続きみたいだね」
『…。』
身を少し屈め、私の表情を覗くように見てくる目黒。
片腕を私の顔の横にペタリと肘までつけ、もう片手はネクタイを緩める。
その瞬間にふわっと香る目黒の香水。
あの時って、ホテルでのこと？
ぼんやりと思い出すのは窓際でのひとこま。
昼間のことを怒っているのかと尋ねたら逆にどう思う？と接近されたのだった。
『え、えっと昼間の事、謝りますから』
蓮「なに？緊張してる？」
『違っ…』
図星をつかれたので咄嗟に否定の言葉を紡ぐが逆効果。
蓮「俺、許すなんて一言も言ってないよ」
『お、怒ってるのは私の方ですよ』
蓮「よく言うね」
クス、と笑われる。
そうだった。私はこの男が世界一嫌いなんだ。
なに流されてるんだ。
ダメだ。ペースにのまれたら悪魔の手のひらで転がされる。
いつにもまして激しい妄想が膨らむのはやっぱり眠気のせいだと言っておく。
必死に目を細め警戒の意を伝える私にくすりと余裕の笑みを返す目黒。
蓮「キス下手な言い訳に聞こえる。」
『は！？違います！キスくらい！！！！』
蓮「俺がファーストキスだったのに？」
それこそあからさまな嘘をついてしまった。
目黒はまるで獲物を追い詰めたように目を細める。
顔が熱い。
蓮「ま、別にいいけど助けたお礼は貰わなきゃな」
『キスは嫌です』
蓮「下手なんだ」
『なっ、う、うまいです』
蓮「下手」
『違います！』
蓮「へぇ、じゃあ」
あれ？変な感覚。
そして気づいたときにはあっという間に立ち位置が逆転。
目黒が壁に寄りかかっていた。
蓮「証明して見せろよ」
人生最大ともいえるピンチ。
キスに上手い下手があるのさえよくわからない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1916人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらね(プロフ) - この作品の番外編のパスワード教えて欲しいです (4月2日 17時) (
レス) id: cf6d888cb7 (このIDを非表示/違反報告)
美心(プロフ) - 大野桜さん» 主さんじゃなくてすみません！魔法のiらんどっていう小説のサイトの椿ハナ先生です! (1月26日 22時) (レス) id: 02fb374d70 (このIDを非表示/違反報告)
大野桜(プロフ) - オマージュってことは、原作があるんですよね…？めめさんに置き換えて更新してくださる大谷さん作品を心待ちにする間に、原作さんの他作品が読みたくなりました…！ぜひ、元ネタ知りたいです🙏最後に、ご体調お気をつけて、無理ない範囲で更新をお待ちしてます！ (2023年3月19日 0時) (レス) id: be8750cf5c (このIDを非表示/違反報告)
大野桜(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！最新話にコメント欄がなかったので、こちらから失礼します🙏ネタバレしない程度に、、毎度強引なめめさんにキュン超えてギュンギュンしてます♡ (2023年3月19日 0時) (レス) id: be8750cf5c (このIDを非表示/違反報告)
ゆま(プロフ) - こんばんは。いつも更新をとても楽しみにしています！続きも気になってしょうがないです！もしよろしければパスワードを教えていただきたいです。 (2020年5月3日 2時) (レス) id: 1762eb9ea0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：大谷
| 作成日時：2019年10月4日 15時
