＊君が好きで仕方がなくて＊

◆6 ページ17

学校からの帰り道はとても静かで

聞こえるのは自分の足音と、

風が静かに流れていく音。



・




「糾斐」




・


唐突に後ろから掛けられた



低いとも高いともいえない声。



私は1つゆっくりと溜息を溢し振り返った。



声の主は見ずともわかる、凌___




・



「ん…？」
「あのさ」



隙を開けずに凌が話出したから


私は少し困惑した。



いつもの冷静で馬鹿な事ばかりをしている凌ではないような気がしたからだ。



・



・


「俺の…わがまま聞いてくれる…か？」



・


俯き加減に話した凌。


私よりも高い身長だから、


俯いたって顔は見えるんだけど____。




「____いいよ？」





いきなり強く吹いた冬の冷たい風。



風に乗って飛ばされてきた紅葉の葉が何枚も宙を飛び交い、


その隙間から見える君の顔は頬を赤く染めている様に見えた。




・




・




「の…俺に…その……キ、キス……して」



・



一瞬何が起こったのか分からなかった。



しかし理解した瞬間、



さっきの凌よりも頬が紅に染まった。




・



「どうして…？」




・



「っ…お願い…




俺…糾斐…好きだから…」



・



その言葉を聞くと私は意識も徐、

躊躇いもなく




「ん…」




君の整った顔立ちを目の前にし


唇と唇を重ねた______。

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