【放浪者】情けない私を大切にして (ページ2)

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情けなさ２up ページ2

「やりませんからね！？わたし、絶対にここから離れませんからね！！！！」

首をブンブン横に振って柱に両手両足でしがみつく。絶対、絶対に動いてやるもんか。

どんなに情けなく思われたっていい。

アイツは使えないやつだって後ろ指さされたっていいから。

絶対、この仕事だけは行きたくない。

「はいはい」

だけどそんな必死な覚悟を、爪のささくれに気付いたみたいな顔で捨てさせてくるのがこの人だ。

「時間は有限なんだろう？早く行くよ」

正論を言いながら大きな笠のひらひらが柱の裏側に消えていく。

何をするかとか、考えなくても気付いてしまって急いで掴まれるだろう足を下ろそうとして。

「った…」

部屋に響く打撃音のあとに聞こえた舌打ち。

下ろした足が確かに何かに当たった感触があったが、どうやらピンポイントに当たってしまったらしい。

普段なら、してやったと笑ってやるところだったのにタイミングがタイミング。

手をぷらんと揺らす不愉快そうな瞳に身が竦む。

許されないと思った。

真っ白な腕がゆっくりと腕の方に向かってきて、

「本当に馬鹿だね」

「ァｯ゛！！！ダっ゛！！」

足首を掴んだ。

普通に叩かれると思ってたから、まさか足からひっくり返されるなんて考えてなくて手で受け身をとる。

「君は僕のそばについてもらうからね。いい加減、見るくらいは慣れてもらえる？」

「嫌です！！絶対に嫌ですから！！！させたら泣きますから！！！！いいんですか！？みっともなく喚きますよ！！！」

床の浅い境目に爪を立てようとするけど、それよりも引きずる力が強いから綺麗な大理石に薄い傷が残るだけ。

「何度も言わせないでくれるかな」

誰にでも理解出来ることなのに、理解することよりも嫌だと感情が先走る。

だから、理解して欲しいから抵抗をやめた。

大人しく無言になる私を彼はやっとかと言いたげに見て、目線を合わせるためだけに屈む。

「自分で歩けるよね」

「……………………やだ、ひと、ころしたくない」

「……すぐ慣れるよ」