【放浪者】情けない私を大切にして (ページ1)

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情けなさ１up ページ1

１人、２人、３人、４人、５人、６人、７人、８人────

「無理です！！無理です！！！！無理！無理！！！！無理だって言ってるのが聞こえないんですかチビ！！！！！」

剣の風切り音。

弓を引く音。

自分のすぐ後ろ、人を傷付けるために造られたありとあらゆる文明の利器が追いかけ回す。

「無視しないでもらえますかぁ！！！？？？」

右、左、上、下、斜め、股下、どんなにとち狂った方向でも死なないために走り続ける。思考が辛い。考えるほど頭が痛い。

何で武器とかあるの？

何で武器に元素力を乗せるの？痛いじゃん。痛いだけじゃん。見栄え以外良くないでしょこんなの！

半べそかく私を上司は呆れたように見下ろしているだけで助けてくれそうにない。

「…………はぁ」

「ため息！？必死で頑張る私を見て出たのがため息とか最低ですね！！このオンボヒィッ！！！」

「口が減らないねえ……」

殺す気だった、今のは完全にやる気だった！！

数本の黒が宙に散る。自分の色。この国では珍しい、私の色がひらりと落ちていく。

思わず足がすくんだ。

いけないと分かっているのに、足を止めてしまった。

「……………やだぁ……」

怖い

痛いのも辛いのも、怖くて。

ぐずる私を見下ろす彼は、ひどく緩慢な動作で手を振りあげて振り下ろす。

途端、聞こえてくる人の声をした断末魔。

空気を揺るがす雷の音に耳を塞いだ。怖かった。

「ゔぇ゛…や゛ぁ…………！」

「……………………本当、どうしようもないんだから」

手を掴まれる。

ばちばちと何処からが聞こえる音に身体が震える。こんなの、もう二度としたくない。

「これなら新人の方がまだ使えるんだけど」

「！………な゛らっ！！新人にっ……任せたらい゛い゛じゃないでずかあ゛！！」

「それはダメ」

痛いくらい冷めた目に息を詰める。

その細腕から出てるとは信じられないくらいの強さが、私を苦しめて傷つける。

「ほら、立って、戻るよ」