【ヒロアカ】スカートの中から始まった感情【轟焦凍】 (ページ17)

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16→私の特効薬ページ17

「植包…？」

「あ、あの傷口は洗いましたか！？」

あの低めの声で名前を呼ばれて思わずそう口にする。

だ、だって大事だと思う…よ？
そう自分に言い聞かせるも焦る気持ちは収まらない。

「？さっき洗って来た」

「そう、ですか…」

私、頑張れ。

そう自分自身を応援して私はゆっくりと彼の手に伸ばす。

比べずとも分かるけど、いざ比べるとやっぱり大きいな手。
男の子の手なんて小学校以来触った事が無い気がする…

「(っ早く終わらせよう…！)」

何かこのままだと色々考えて一歩も進まない気がする。

結論を出し瓶から少量のクリームを右手の指先で取って、
私は左手で支える様に彼の手を取ってその温度に直接触れる。

……正直、左手は欲が出た気がする。

貪欲か私と思いつつ私は割れ物を扱う様に優しく塗って行く。
塗り終わって傷口がスゥーと塞がって行くのを見て私は手を離す。

「万が一、痛みが伴ったりしたら言ってくださいね」

「解った」

漫画だとすれば一コマ程度の短い時間だった。
それでも私は身勝手にも満足感を得て笑顔を浮かべる。

きっと気持ち悪い程に感情がバレバレだろう…

けど止められたら苦労はしない。

「…ありがとな」

「――はいっ！」

授業が始まる前に私は彼を万能薬と比喩した。

だが特効薬と言う方が正しいのかもしれないと今思う。

だって実際に些細なお礼に私の心は踊っているのだから。