【ヒロアカ】スカートの中から始まった感情【轟焦凍】 (ページ12)

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11→ヘタレの勇気ページ12

「(助けてもらったのに、お礼……してないよね…)」

私の頭には一つの考えが浮かんだ。

考えるだけで頬に熱が集まりそうになるが、
それを阻止する様に首を横に振って立ち上がる。

手にはおまけして貰ったプリンを持って。

こう言う時、彼の横に立つであろうヒロインは手作りのクッキーを渡すんだろうけど…

そんな事を思う余裕は無いはずなのにそう思ってしまった。
多分、緊張を紛らわす私なりのやり方だったんだろう…

「っと、轟君…！」

だって彼を目の前にして私は息が詰まりそうな程に緊張している。

名前を呼ぶだけで苦労するものなのか…

声が裏返りそうだった…と言うか裏返って無いよね？

「…植包？」

そして名前を呼ばれるだけでこれだけ嬉しいものなのか…

どうしよう、更にまた鼓動が煩くなってる…

「昨日は、助けてくれて…有難うございました……これ、お礼です。」

何時も以上に歯切れ悪く発される言葉。
恥ずかしさがまた増して行く…

だから私はまたズルをしてそそくさに逃げようとした。
――でも、それは阻止された。

「っと……轟君？」

突如掴まれた腕に驚きながら私は恐る恐る名を口にする。
服越しに伝わる温度が私の身体をまた熱くさせる。

「――悪りぃ……別に、何も無い…」

意図の掴めない言葉を轟君は発すると掴んだ手を離す。

「そ、そっか……じゃあ、午後にまた…」

出来る限り驚いた事をバレない様に私は笑って別れを告げた。

笑ってとは言うが作り笑いじゃなくて自然な笑みだった。
それは、多分……

「(あぁ、もう……煩い…)」

…君と話せたからだと思う。

これだけで幸せだなんて…

本当、恋って怖いや。

熱を帯び緩んだ頬に手を添えてそそくさに私は食堂を去る。

何だか今なら研究が物凄く捗る気がしたのだ。
だからそのイメージを忘れぬ様に私は研究室へと向かった。