45→そんな勇気は ページ46
その試合は結果だけを言ってしまえば轟君の勝ち。
しかし、どちらもかなり健闘した。
語彙力の無い言い方をすれば壮絶な戦い…
緑谷君は壊れた指を再度使い最後まで立ち向かった。
そして、轟君に炎――即ち左側を使わせた。
多分、それは轟君の何かを変えたと……私は思う。
私はそんな事を考えながらも轟君の居る所へと走る。
緑谷君に関しては無論私の処置では及ばない。
その為からリカバリーガールの所へ直行だそうだ。
なので必然的に私は轟君を担当する事になる。
「……植包？」
走っていると前方に彼の姿を見つけた。
私が声を出そうとする前に彼も私に気づいた様だ。
走ってるのだから当然と思いつつも嬉しさを感じてしまった。
「け、怪我は…」
しかしながら先程の試合で半分程破れている体操服。
なので目のやり場に困ると言うか何と言うか…
その為から少しずつ緊張の解れつつあった轟君の会話は
当初の様にぎこちなさを取り戻していた。
「掠った程度だ…」
「で、では…その痛い、所は？」
「強いて言うなら、腹…？」
先程、私は引かなかったのもあったのか今度は素直に言ってくれる轟君。
その様子に何処か優越感を得ながらも曖昧な回答に笑いを溢しそうになる。
「良かった……ではこの飲み薬を飲んだ後、掠り傷に薬を塗っていてください。
私は替えの体操服を、取ってくるので…」
それでも私には肌を露出した好きな人と一緒に居る勇気はありません。
勿論、治療の為とは言え身体の触れる事もです。
それに……
「(きっと、今は考える時間が必要だ…)」
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作者名：自宅警備員先生 | 作成日時：2017年10月16日 18時
