32→君の宣戦布告 ページ33
あの日から数日後、体育祭当日。
薬は前もって多めに準備している。
そして今日までの数日間は家の近くの公園で体力作り。
明確な目標が出来たおかげでやる気は十二分にある。
「っよし…」
インカムを装着し身だしなみを再度整える。
既に動ける準備は出来ているが出番はまだである。
緊張を少しでも解す為に控え室を覗いてみようかな…
そう思いながら私はA組の控え室へと向かって行く。
扉を突然開けて驚かせて見ても良いかな？そう思ってドアノブに手を伸ばす。
「別にそこ詮索するつもりはねぇが……お前には勝つぞ。」
その時、中から聞こえた宣戦布告とも取れる発言。
でも、この声は…
「(轟君…？)」
私はそれに驚いて伸ばした手を引っ込めて息を潜める。
宣戦布告？一体、誰に……？
「おいおい、急にケンカ腰でどうした！？直前にやめろって」
「仲良しごっこじゃねぇんだ。何だって良いだろ」
きっと切島君は仲裁に入ったのだろう…
でも、その言葉へ轟君の返答は氷の様に冷たい。
何時も何処かクールと言うか、そう言う所は確かにあった。
けれど人の厚意を無駄にする程に辛辣では無かった気がする…
「(イライラ、してる…？)」
そう思うも別に彼とは親密な仲では無い。
それに午前中の彼を知っている訳でも無い。
だからこれは確証なんて無くただの憶測でしか無いんだ。
それでも、ね…
「(君が困ってるなら、助けたいよ…)」
もし精神的な問題なら仕事の内の入る。
それを理由にして聞いても別に良いと私は思う。
でもそれが出来ないのは嫌われたくないと思ってるから。
だから私は静かに心の中でそう思うことしか出来ない。
結局は自分が一番で臆病なんだ…
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作者名：自宅警備員先生 | 作成日時：2017年10月16日 18時
