愛してる13 ページ13
うらたさんが出て行ってから、どうにかこの現状を打破する方法はないかと、脳みそをフル回転させる。
…が、結局いい案は出てこなかった。
うらたさんがやってくる音が聞こえる。
無意識に足が震える。
そりゃあそうか。
直ぐ近くに人殺しがいるのだから。
機嫌を損ねれば、私はきっと殺されてしまう。
そんな死の恐怖に囲まれながら生きていくなんて、嫌だ。
…あれ？待ってよ。それならいっそ…。
___死んでしまった方が良くないか？
そんな考えが生まれたところで、かちゃっと鍵が開く音がした。
そこには返り血を洗ってきたと思われるうらたさんがいた。
「お待たせ、A。俺さ、考えたんだ。どうすればAが俺から離れて行かないかなって」
離れていく…。
確かに、こんなうらたさんのそばにいられるかと問われたら、イェスと答えられる自信がない。
そんなことを考えていると、うらたさんに手をつかまれる。
何がなんだかわからないうちに、かちゃっとナニカがつけられる。
それを理解するのに、私は少しの時間を要した。
だって、だってだって。
こんなもの、普通の家にはない。
うらたさんは反対側を自分の手首につける。
「これは、俺とAを繋ぐ赤い糸。これでずっと一緒だね」
赤い糸…だって？
どっからどうみても、赤い糸なんかじゃない。
これは_____手錠だ。
こんなものをつけてこれから過ごすの？
トイレは？
お風呂は？
___もう、あのキーホルダーを触ることもできない？
私はこれからの生活に絶望するしかなかった。
だって、あのキーホルダーは私のこの生活の唯一の拠り所だったのに。
これからどう生きていけばいい。
こんな生活、気が狂ってしまいそうだ。
死にたい。
本気でそう思った瞬間だった。
死ぬのは嫌だ。
でもこんな生活はもっと嫌だ。
気づけば私はうらたさんに懇願していた。
『すぅ…う、うらたさん…お願いがあるんです』
「なに？」
________『私を…殺してくれませんか』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - とてもよかったです！ハッピーのその後話が欲しい！ (2022年1月13日 22時) (
レス) @page34 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - ひきねこさん» 返信遅くなってしまいすみません！通知だけ消して返信を忘れていましたｯｯｯ（汗）喜んでもらえて嬉しいです！！！！！メリバ展開最高ですよね(｀・ω・´) (2020年9月4日 7時) (レス) id: e405411bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ひきねこ - いや、久しぶりに来たがメリバがあるだと！？しかも面白いんですが！？ねぇ最高なんですけど！ ほんと好き (2020年8月31日 22時) (レス) id: b9ac26b4ea (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - nkkomuroさん» メリバの方も読んでいただきありがとうございました！メリバ最高ですよね〜(*'▽'*)楽しんでいただけたようで嬉しいです！こちらこそ、最後の最後までお付き合いいただきありがとうございました！ (2020年8月28日 22時) (レス) id: e405411bb6 (このIDを非表示/違反報告)
nkkomuro(プロフ) - メリバ最高でしたぁぁぁ!見たかったのですごく嬉しいです!!ハッピーエンドもメリーバットエンドもどちらとも最高でした!!ありがとうございます!! (2020年8月28日 21時) (レス) id: e044082ffb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蜜柑 | 作成日時：2020年7月23日 20時
