【完結済み】スカーレ【urt】

愛してる2 ページ2

『んっ…ぅ…』

目覚めるとそこは、お姫様が眠るような、レースのようなベットだった。

『…ここは？』

辺りを見渡しても、見覚えのあるものは一つもない。

すると、ギィと音を立てて扉が開いた。

『…さっきのおにいさん』

「そんな覚え方かぁ…ねぇねぇ、渉って呼んでよ」

わ、わたる…？？？

『むっ、無理です無理です！』

首を横に捥げるのではと思うほどに振る。

男性を下の名前で呼ぶなんて、幼なじみ以外無い。

恥ずかしすぎる。

すると、渉(？)さんはふふっと笑った。

…？

『ぇっと…何がおかしかったですか？？？』

「ううん、Aちゃんって初心(ウブ)なんだね」

『初心では無いと思いますけど…って…え？』

待って、この人今、わたしの名前を…？

『あの…どうして、名前…』

「ん？あぁ、だって俺、Aちゃんのこと大好きだもん。Aちゃんのことならなんでも知ってるよ？」

え。

ぞぞぞ、と悪寒が背筋を走る。

そんなことまで知られていたのか。

渉さんの雰囲気が優しく忘れてしまっていたが、この人は誘拐犯なのだ。

逃げ出したいとは思うものの、この部屋の窓は板で塞がれている。

それに_____



「…逃げたら、分かってるよね…？？？」



さっきのナイフの感触を思い出す。

そんなことを思っていたとき、渉さんがふと思いついたように声を上げた。

「あ、そうだ、まだお互いのこと知らないしさ、質問コーナーしよ！」

『しつもん、コーナー…』

「そそ！じゃあまずAちゃんからどうぞ！」

『え、えぇ…！？』

そんな、いきなり言われても…

『あ、じゃあ…お名前を…教えてください…』

「え？だから…『いや！下の名前じゃなくて、苗字を！』あ、そっかぁ。Aちゃん、初心だもんね〜。じゃあ、1週間だけうらたでいいよ」

『うらたさん…ですね』

1週間という言葉にピクリと反応したけれど、なんとか平然としていられた。

_____1週間経つ前には、絶対に逃げ出してみせる…！

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