part210 ページ19
チュ……
と小さな音を立てながら
人の温度が離れる。
ククールは唖然としてアルバを見ると
彼女はニッと悪戯っ子のような笑顔を作り
彼を見上げていた。
「………っ」
「なんて顔をしているんだ。
せっかく人が
お前の好意に答えたと言うのに……」
「え……！？
ア、アルバ…！？」
ククールは我に返ると
あわあわと慌て出しいつもの飄々とした顔ではなく、アルバはクスクスと可笑しそうに笑い
また彼の胸に身体を預けた。
「あ、あまりからかうなよ……」
「私は別にからかったつもりはないが……
だがククールの意外な一面が見れたな、
それに関しては満足。」
「……お前なぁ…。」
まだ、ハッキリとした答えはないが
この言動から見て自分の気持ちは届いたのだと
ククールは冷静になった頭でそう思い
そして満足そうに頬を緩めた。
「アルバ、好きだ。」
「ん……暗黒神を倒し次第
改めて返事をする。
それまでもうしばらくの辛抱だな。」
「……あぁ。」
彼女はもうオレに返事をくれた。
今はそれだけで十分だ。
ククールは今にも眠りそうな
アルバの額に口づけし
その華奢な身体を抱きしめた……。
ーーーーーーーーーーーーー
翌日。
アルバは完全に回復し
トロデやミーティアへ挨拶した。
彼らはアルバを心配しながらも
“良かった良かった”と笑って彼女の頭を撫で、
頬をすり寄せた。
全員が揃い、
いざ暗黒神の城へと意気込む中
双子がそれを止めた。
「む？なんじゃアルバ、アルヴァス。
何か用があるのか？」
「はい。
勢いに乗っているところすまないが、
少しばかり寄り道をしてもいいか？
大切なことなんだ。」
双子はゆっくりと
？を浮かべているみんなを見渡し
最後にエイトへと視線を向けた。
「エイト。
この寄り道はお前に関係することかもしれないんだ。」
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