part203 ページ12
〜アルヴァスの家〜
サザンビークにあるアルヴァスの家。
サザンビーク内でも世界の異変に怯えており
孤児院の子供たちは無事に帰ってきたアルヴァスに抱きついてきた。
「とりあえず姉さんを寝かせたいんだ。
こいつらの部屋を用意してくれ」
「わかった。
それではみなさん、こちらへどうぞ。」
エイトたちは孤児院の青年に案内され
前にも寝泊まりした部屋へと通された。
空はとっくに暗くなっていて
月が輝いていた。
エイトたちはすぐさま眠りにつくも、
ククールだけはドレス姿のまま眠っている
アルバの看病をしていた……。
「ククール、食事を持ってきた。
ちゃんと食わねぇと持たないぞ」
「……あぁ、すまねぇ……」
ククールはアルヴァスの持ってきた、
おにぎりを口に運びながら
アルバを見る。
「……姉さん、
着替えさせなくてよかったのか？」
「……着替えなら、
目覚めてからでいいだろ…。」
「ククール……。
……俺はそろそろ部屋に戻る。
…姉さんのこと、頼んだぞ」
「……あぁ。」
アルヴァスは“おやすみ”とだけ言い残し
その部屋の扉を閉める。
また、無音のなった部屋の中で
ククールはアルバの手を握った……。
「……アルバ……。」
死んだように眠りについている
美しき女性。
その姿は正気を感じられないが
粧された顔はとても美しくククールは
吸い寄せられるように顔を近づけた。
「……いい加減…オレを見てくれ……。
オレを受け入れてくれ……」
“私はミーティアが結婚するまで
恋愛はしないと決めている。”
自分の意思を強く持ち、男のような言動をする
愛する女性は自身のアプローチをかわし続けていた。
ククールはそれを受け入れて
今までアプローチを続けたが
マルチェロの陰謀により離れ離れになった時
とてつもない不安に襲われた。
もうあんな思いはしたくない。
アルバを離したくない。
だから早く、目を覚ましてくれ。
また、その瞳にオレを映してくれ。
ククールはそんな思いを込めて
アルバの唇へ自身のそれを重ねた……
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