part152 ページ10
レオパルドが去ると
周りにいたオオカミたちも
興が冷めたかのように去って行った……。
倒れているメディの亡骸に
バフが鼻を押し付けて“クゥーン”と鳴いている。
それに気付いたのか
身体を痛めていたグラッドは
その身体を引き摺りながらも
メディの亡骸へと這いずり寄った。
「か、母さん……
何てことだ。
オレがあの黒犬に捕まったばかりに……
ようやく、
謝ることができると思ってたのに……。
オレの……オレのせいでっ!!」
その場にはグラッドの啜り泣く声だけが響き、
エイトたちは目を伏せた……。
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グラッドの身体を手当てすれば
彼はすぐに
アルヴァスに支えられながら
地下にある薬草園の所まで来た。
そして、墓を作り終え花を添えると
グラッドやエイトたちは目を閉じて祈りを捧げた。
「あの黒犬は東の方へ飛び去ったと言ったね?
東か……、たしか東には
法皇の住む島があったはず……」
「!!」
「……だろうな。
法皇様にも賢者の血が流れている。
次の狙いは間違いなく法皇様だ。」
グラッドの言葉に
アルバとアルヴァスは目を合わせ俯く。
現法皇は2人の実祖父だ。
2人にとって必ずと言っていいほど
守らなくてはならない存在である。
「キミたち!
キミたちは黒犬を追って旅しているんだろう?
だったらお願いだ!
二度と母のような犠牲者を出さないよう
あの黒犬を追いつめて必ずヤツを倒してくれ!」
「元よりそのつもりです。
今度こそヤツを倒さないと……」
「…姉さん……」
自分たちの身内が殺されるのは
もう懲り懲りだ。だからこそ早く倒さねば、と
アルバの中で焦りが生じるも
アルヴァスがその手を握りそれを抑える。
2人は不完全な双子。
片割れが存在しなければ生きていけない
不完全な双子だ。
支え合い、助け合い、正し合い
生きていく双子。
不意にオディロに教わったことを思い出し
アルバはいつもの冷静さを取り戻した。
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