part175 ページ33
『……どうやらあなた方には
迷惑をかけてしまったようですね。
光の世界から呼び寄せておいて
こんな嫌な思いをさせてしまうなんて
本当に申し訳ありません。
さあ、ここにいたところで
もはやなすべきこともありません。
お2人と共に光の世界への扉まで
送っていきましょう。』
レティスがアルバとアルヴァスを
自身の背中に乗せようとした、その時
“母さま、待ってください”と言う
男の子のような声が聞こえた。
『ま、まさか、私の赤ちゃん……?』
その声は卵から聞こえ
卵からレティスほどではないが
大きな鳥が姿を見せた。
『そうです、母さま。
生まれてくることもできず
こんな姿でお話しすることになって
ごめんなさい。
ボクを助けるために来てくれたその人たち、
そして自分の命を落としてまで
ボクを守ろうとしてくれたその人たちに
お礼がしたくてこうして姿を現したのです。』
『お礼?しかし、あなたは……』
『いいえ母さま。
こんなボクだからこそできることが
あると思うんです。
実体を持たない、たましいだけのボクに
そのお2人の身体に入り込めば
お2人の命は再生され、ボクのチカラで
空を飛ぶことができるようになるはず。
どうか、みなさんの旅に
ボクをご一緒させていただけませんか?』
『エイト。私からもお願いします。
この子がアルバやアルヴァス、
そしてあなたたちの役に立てるのなら
私も救われます。
どうか、この子の願いを
かなえてあげてください。』
エイトは頷き、
亡骸と化している大好きな姉と
その弟を見る。
その意思を受け取ったレティスの子は
丁寧に寝かせられた双子に近付き
翼を当てる。
するとレティスの子は光となり
2人の身体へと入り込んだ。
「「……んっ…」」
光が全て彼女らに入り込んだ時、
2人はゆっくりと目を開き
澄んだシルバーの瞳に嬉しそうな顔をした
仲間の姿を映した……
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