十四話 ページ42
舞台に現れた被害者の青年。
その青年が現れたことにより劇場全体に驚愕の声が上がる。
「まさか存在しないはずの異能者が、
解決役のなって現れるとは。
ここまでお膳立てをされては現れるしかない。
だが何故判った?
用心棒も市警も、同僚でさえ見抜けなかったのに」
「それが僕の異能だよ。
血液も本物、刃も本物、駆けつける用心棒も
驚く同僚の役者も本物だ。
けど僕の異能は誤魔化せない。
殺人事件なんて___最初から存在しなかったんだ」
「いつから気づいていた?」
「最初から」
乱歩は青年に会った時から全てを見抜いていた。
青白い顔に水をやたらと飲む仕草……
だが青白い顔は化粧で誤魔化し、
疲れた様子は演技力でカバーする。
脈拍もシリコンゴム製の詰め巻きでカバーしていた。
「(すっげぇ根性。
役者っつーのは矢っ張りよく判んねぇなぁ…)」
「後は搬送された病院に連絡するだけだったよ。
外傷を受けて死亡した急患の村上時雄さんは確かにいたけど、人相を訊ねたら六十代のおじいちゃんだった。
たぶん搬送された先で、似た症状の患者さんと身分証をすり替えたんじゃないかな。
警察が調べてばすぐ判るよ。」
「共犯者がいてね」
「だろうね。
脚本家さん?」
「そうだ、二人で計画した。
今は自宅にいるはずだよ。」
「棄てられた詰め巻き、病院、自分の血。
証拠は捜すまでもなく山ほどある。
後は自供だけだ。
そこで____
陰気くさい取調室で
面白みの欠片もない警察に囲まれるより、
あなたにふさわしい自供の場所を容易にしたよ。
これだ」
乱歩が指を振ると、
辺りは暗闇に包まれ、
青年にスポットライトが当てられた。
「………(役者らしい最期って訳か…)」
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スート(プロフ) - セレーナさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しい限りです!もうちょっと増やせるように頑張りますが…恐らく次回になりそうです… (2019年12月23日 9時) (レス) id: 1c1bb3d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 面白い作品ね。だから碧ちゃんと太宰さんとの絡みをもう少し増やしてほしいわ (2019年12月23日 1時) (レス) id: c6e49e4b0b (このIDを非表示/違反報告)
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