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十一章 ページ39

虚子や此処の支配人である江川という女性の配慮に寄って、劇場は素早く封鎖され殺された青年は救急車で運ばれた。


「ねぇねぇ」


「お?
誰かと思えば乱歩じゃん。
どうかした?」


「君って異能者なんだよね?」


「おう。
お前も見たろ?
俺の瞬間移動」


「_______本当にそれだけ?」


嗚呼、矢っ張り此奴は____
虚子は口角を上げ目の前の少年を見つめる。
翠と金が交差した時、彼女は静かに口を開いた。


「乱歩。
お前は魔法を知ってるか?」


「御伽噺だと思ってたよ。」


「…………フッ、流石は名探偵。
全てお見通しか。」


「彼の人は皆判ってないって云ったけど、
君は判ってるんでしょ?この真相」


鋭い翠が虚子を貫くが、
虚子は何も云わずただただ笑って
乱歩を見つめている。


「いいか、乱歩。
力は使いようだ。」


「?」


「乱用すれば、自分を殺す。
使わなければ、他人を殺す。
だから力は孰れ使わなければならない。」


「……意味判んない」


「………乱歩。
人には判らない事が沢山あった方が良い。
人はそれを追い求めて生きて行く。
例え異能者であろうと、バカみたいに頭が良い奴もそれは同じだ。」


乱歩は未だ判らないって顔をしている。
矢っ張り未だ子供か____
未だ世界を知らぬ子供にフッと微笑み虚子は踵を返した。


「乱歩。
お前の推理ショー楽しみにしてる。
客席で待ってるぜ」


「!ちょ、ちょっと!
話は未だ終わってないんだけど!」


「俺は終わったんだよ。
後はお前の頭で考えろー」


「んな無茶苦茶な!!」


「しーっらね。」


ギャーギャー騒ぐ乱歩を置いて、
其の儘、観客席へと戻る。
その間の彼女の顔はとても面白そうに笑っていた。

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スート(プロフ) - セレーナさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しい限りです!もうちょっと増やせるように頑張りますが…恐らく次回になりそうです… (2019年12月23日 9時) (レス) id: 1c1bb3d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 面白い作品ね。だから碧ちゃんと太宰さんとの絡みをもう少し増やしてほしいわ (2019年12月23日 1時) (レス) id: c6e49e4b0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スート | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月12日 8時

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