検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:4,498 hit

四十八章 ページ25

佐々城から直接、脅迫を突きつけられた。


「止めろ」


不意に掠れた声が国木田の口から出た。
彼の着けている眼鏡に光が反射して目は見えないが
きっと、悲しい目をしているだろう…


「止めろ。もう善い。
探偵社への攻撃など二度とさせん」


声は掠れているのに、
その足取りはしっかりとしていた。
だが佐々城の持っている銃が国木田に突き付けられる。


「独歩!」


「っ!」


「彼女の意思は本物だ。
佐々城は、“蒼王”を自爆まで誘導した俺達を最期まで憎み続けるだろう。

………………他に、憎む相手が居ないのだから…」


虚子の目が哀しげに伏せられる。
それを見た国木田は何も言えなくなり、
言葉を続けようとした口を閉じた。


「高浜様。ありがとうございます。
私はこれまで通り、彼の人_____“蒼王”の理想に殉する一個の銃口であり続けます。
それを貴方がた探偵社に邪魔する事は出来ません。
ですから、これは______」


黙った彼らを見た佐々城は眉を寄せて口を開く。
それと同時に静かに銃を下ろした。


「これは契約です。
貴方がたは私に干渉しない。
私は探偵社を攻撃しない。
私はこのまま、此処を去ります。

そしてまた別の組織を使って、
同じ事件を起こします。
次も、その次も。
貴方がたにそれを防ぐことは許されません」


「いいのだね、それで」


「太宰様、貴方ならば判る筈です。
貴方は常に先を読み、感情に流されず全体最適となる行動を選び続けました。
ならば此処で取るべき行動は一つの判る筈です」


「その通りだ。
私は何もしないよ」


「それでは_____」


太宰と言葉を交わした後、
佐々城は国木田を見詰めて綺麗に微笑んだ。


「国木田様
欺瞞かも知れませんが、
地下の貯水(タンク)で……迷いなく一直線に、
私を助けて下さいましたね。
少し……嬉しかった。

これが最期ですから、
ひとつお伝えしたい事が御座います。
国木田様は」

四十九章→←四十七章



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
31人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

スート(プロフ) - セレーナさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しい限りです!もうちょっと増やせるように頑張りますが…恐らく次回になりそうです… (2019年12月23日 9時) (レス) id: 1c1bb3d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 面白い作品ね。だから碧ちゃんと太宰さんとの絡みをもう少し増やしてほしいわ (2019年12月23日 1時) (レス) id: c6e49e4b0b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:スート | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年10月12日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。