四十八章 ページ25
佐々城から直接、脅迫を突きつけられた。
「止めろ」
不意に掠れた声が国木田の口から出た。
彼の着けている眼鏡に光が反射して目は見えないが
きっと、悲しい目をしているだろう…
「止めろ。もう善い。
探偵社への攻撃など二度とさせん」
声は掠れているのに、
その足取りはしっかりとしていた。
だが佐々城の持っている銃が国木田に突き付けられる。
「独歩!」
「っ!」
「彼女の意思は本物だ。
佐々城は、“蒼王”を自爆まで誘導した俺達を最期まで憎み続けるだろう。
………………他に、憎む相手が居ないのだから…」
虚子の目が哀しげに伏せられる。
それを見た国木田は何も言えなくなり、
言葉を続けようとした口を閉じた。
「高浜様。ありがとうございます。
私はこれまで通り、彼の人_____“蒼王”の理想に殉する一個の銃口であり続けます。
それを貴方がた探偵社に邪魔する事は出来ません。
ですから、これは______」
黙った彼らを見た佐々城は眉を寄せて口を開く。
それと同時に静かに銃を下ろした。
「これは契約です。
貴方がたは私に干渉しない。
私は探偵社を攻撃しない。
私はこのまま、此処を去ります。
そしてまた別の組織を使って、
同じ事件を起こします。
次も、その次も。
貴方がたにそれを防ぐことは許されません」
「いいのだね、それで」
「太宰様、貴方ならば判る筈です。
貴方は常に先を読み、感情に流されず全体最適となる行動を選び続けました。
ならば此処で取るべき行動は一つの判る筈です」
「その通りだ。
私は何もしないよ」
「それでは_____」
太宰と言葉を交わした後、
佐々城は国木田を見詰めて綺麗に微笑んだ。
「国木田様
欺瞞かも知れませんが、
地下の貯水
私を助けて下さいましたね。
少し……嬉しかった。
これが最期ですから、
ひとつお伝えしたい事が御座います。
国木田様は」
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スート(プロフ) - セレーナさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけると嬉しい限りです!もうちょっと増やせるように頑張りますが…恐らく次回になりそうです… (2019年12月23日 9時) (レス) id: 1c1bb3d8a6 (このIDを非表示/違反報告)
セレーナ - 面白い作品ね。だから碧ちゃんと太宰さんとの絡みをもう少し増やしてほしいわ (2019年12月23日 1時) (レス) id: c6e49e4b0b (このIDを非表示/違反報告)
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