340話 ページ7
突進してくる体を避け、もう一度頭を掴んで持ち上げる。
涙でぐしゃぐしゃの顔と目が合う。
「どうなんのか知らないけどさ。
この呪霊は死ぬことより、博士になにかをされることを恐れているようだった。
私は慈悲深いから選択肢をあげる。
「…………ころ、しテ」
「お?」
「あンな、醜い姿にはナりたクないッ」
…醜い姿、ね。
願いを聞き入れた私は手の力を強めて、呪霊の頭を握り潰した。中身が弾けるが、すぐに消えるから問題ない。
しかしまぁ、なんとなく分かったぞ。
手をはたいてアームのほうを見る。
心なしかグッタリしてるから、だいぶ力を失っているらしい。
呪詛師はあのアームを実用化するために何体もの呪霊に取り付け実験していて、アイツによると上手くいかなければ“醜い姿”にされる…
つまり失敗作は、多分真ん中のビルにいた肉塊呪霊だろう。あれは何体もの呪霊の集合体だったか。
どうりで変な気配だと思った。
「うん、あとはオマエだ」
と言っても機械だから、適当に破壊してしまえばいいだけだ。
アームの根元にあるコアのような部分を踏み潰すと、うねっていたアームは次第に動きを止める。
ん? なんか感電した気がする。
体の芯が痺れる感覚と焦げる臭い。痛みを感じないせいでよく分からないけど。
「…保険かな」
もし破壊されても、相打ちで相手を殺せるように。
はは、悪あがきって感じ。
火傷なんて軽傷なので、焼けた皮膚を取り除くようにすぐ治療。
呪霊は祓ってアームも停止したので、七海が呪詛師のところにいる間に真ん中の肉塊をなんとかしようか。
「……ん?」
踏み潰した足を上げるとき、小さい何かと目が合った気がして持ち上げる。
それは黒い直方体の機械で、レンズのようなものがこちらを覗いていた。
「…GoPro?」
の、ような小型のカメラ…に見える。
角が割れていて今は何も映していないようだけど、このなにかがぶつかったような壊れ方は…
「見られてたな」
アームを投げたときに当たって一緒に落ちたと見るべきだろう。
ということは、そこまでの戦いを見られた。
多分呪詛師だと思うけど、十中八九私が呪霊ってバレたな。
七海のとこの奴だったら良いんだけど、別の場所から監視されてた場合、広まっちゃう。
考えても仕方ない。急ごうか。
182人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠(プロフ) - と_うり@ 占ツクイラスト集以外更新停止中さん» ですね😂最初のほう以外の補監はみんなチェンソーマンですw (2022年11月10日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 抹茶は正義!さん» コメント見落としてました!すみません!🙏進みます! (2022年11月10日 19時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
と_うり@ 占ツクイラスト集以外更新停止中(プロフ) - 補助監督チェンソーマン!? (2022年11月10日 17時) (レス) @page19 id: a0d0d4f671 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - うわあ、これからそのまま進んでいく原作は主人公ちゃんにとってつらいだろうなあ、、、がんばれええ! (2022年8月3日 0時) (レス) @page49 id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - いーすとさん» ありがとうございます!!嬉しいです、私も読者の皆様を愛しています!!🥰 (2022年8月1日 23時) (レス) id: dbd7e88ded (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2022年6月15日 22時