290話 ページ7
夜、何の前触れもなく嫌な感覚に襲われた。
私しか気付かないくらい微量な呪力。
走って寮に向かう。
一つの部屋に目星をつけ、扉を開けた。
「とりあえず聞くけど、なんで?」
ここは悠仁の部屋。
でもベッドに腰掛けていたのは、天上天下唯我独尊両面宿儺様だった。
「暇だ。何かしろ」
「は?」
出た、宿儺必殺「己の快・不快のみが生きる指針」
「悠仁は?」
「寝ている」
「お前も寝ろ」
視界がひっくり返り、重い音がする。
ノールックで首を落とされた。
「暇だ。何かしろ」
「壊れたラジオか」
頭を拾って戻す。
宿儺が何を考えてるのかなんて私にも分からない。一度死闘を繰り広げた仲とはいえ友達になったわけではない。
「何を期待してんの? 一発ギャグ?」
「“一発ぎゃぐ”は小僧で見飽きた。貴様のやり方で俺を楽しませろ」
「ガキか」
首が落ちた。
「宿儺を楽しませるとか戦うしか思いつかん」
拾い上げ、また戻す。
そういうギャグになってんじゃねぇか。
「貴様と戦うと疲れる」
「…まあ分かる」
目の前の戦い以外何も入ってこなくなり、文字通り我を忘れる。領域じゃなかったら日本がどうなってたか考えたくもない。
戦う以外で宿儺を楽しませる方法……
「YouTubeでも見とけば?」
「“ゆうちゅうぶ”とは何だ」
相変わらず横文字苦手な宿儺は可愛いが、とりあえずスマホを出して動画を開く。
「テレビみたいなもん」
「ほう」
意外にも興味を持ってスマホを受け取った宿儺は、しばらく静かになった。小さい子のあやし方か。
たまに笑いが漏れてる。
「…おい、止まったぞ」
「動画が終わったんだよ。別のが見たかったら…」
やり方を教える。
私は何してんだ。
「そうか、もう良い。貴様は用済みだ」
「いや私のスマホ。悠仁ので見てよ」
説明してあげたのに、スマホを置いて帰れと言うので反論する。別に困ることもないが、悠仁のがあるんだから使えばいい。
雷神で電気を操ればパスなんて関係ないのだ。
「ほらこれ一緒だから」
宿儺は大人しく受け取った。
何かあったら呼び戻される気がしないでもないが、無視してやろうと心に決めて部屋を出た。
「ま、あの程度で宿儺が大人しくなるなら儲けもん」
結局呼ばれることはなく、ぐっすり眠ることができた。
翌朝、悠仁に「充電挿して寝たのに0%になってたんだけど知らない?」と聞かれたのはまた別の話。
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翡翠(プロフ) - 抹茶は正義!さん» 家入さんが一番イケメンだと思ってます…😂 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 3a4365de5c (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - 家入さんがかっこいしゅき (2022年6月12日 20時) (レス) id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - オールキャラかーおもしろくなるだろうなー (2022年6月12日 20時) (レス) @page46 id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 抹茶は正義!さん» 出来るだけオールキャラ出したいので笑 (2022年6月9日 16時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - 主人公ちゃん疲れるよねーそりゃ過去に来ちゃったんだから (2022年6月9日 0時) (レス) @page40 id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年5月18日 16時