検索窓
今日:2 hit、昨日:26 hit、合計:81,210 hit

289話 ページ6

私が羂索のことを好きで、自分が良い声だってのを完全に自覚した上でそんなことを言ってきやがる。

あやうく内容が飛びそうになったが、なんとか聞き取った私はパンクした頭を無理矢理回して言葉を探す。



「私ができる範囲で…」

「渋谷で、私の言う通りに動くだけでいい」



ゾワッと全身の毛が逆立つような感覚に襲われ、顔を上げて羂索の顔を見ると、口は笑っているが目は笑っていない。

揺らぎかけた心が形を取り戻す。


羂索の言う通りなんて、誰かを殺せとかコイツの邪魔をしろとかそういうのだろう。

そんなことをしたら事変が大きく変わってしまう。それどころか大好きな人達を自らの手で殺す羽目になる。


契約、縛りというのはそういうことだ。破れば被害を受けるのは破ったほう。

だが確かに、なんでもするとなると対価としては妥当だろう。



「できない…」

「なんでも、していいんだよ。君が想像しうることを、なんでも…」



頭の中に数々のイケないビジョンが浮かぶ。

羂索のほっぺたを片手でムニムニすればすぐに振り払われるが、今度は頭に手を置いて嫌そうな顔をされる。



「なんでも良いのなら……………■■■■■■■■■■したいし■■■■を■■■■一緒に街歩いたり■■みたいな■■系の術式で疑似■■■■したり___」

「A、A、その辺にしておこうか」



羂索の言った通り想像しうる全てを吐き出せば、羂索本人に止められた。

顔を引き攣らせて私の口に人差し指を立てる。
は? この綺麗な指を舐めてやろうか。



「いいよ。ハロウィンで…言われれば知り合いだって友達だって殺してあげる。でもその代わり、オマエにそれを死んだほうがマシだって後悔するほどのことをする。なんでもって言ったもんね?」



羂索の腕を退けて言えば、全く予想していなかったのか知らないが、冷や汗をかいた羂索が苦笑いを浮かべた。



「……やっぱり、この話はやめようか」



私の実力を知ってるから、縛りを結んでまで思い通りに動かしたかったのだろう。

逆に私の実力を知ってるからこそ、本当にとんでもないことをされると察して諦めた。



「ちぇっ…残念」

「はぁ…つくづく面白くない子だ」



まぁ友達を殺すわけないのだが、私にとって「なんでもする」の提案がとても魅力的なのは確かだった。

290話→←288話 -激重対価-



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (112 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
205人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

翡翠(プロフ) - 抹茶は正義!さん» 家入さんが一番イケメンだと思ってます…😂 (2022年6月15日 22時) (レス) id: 3a4365de5c (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - 家入さんがかっこいしゅき (2022年6月12日 20時) (レス) id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - オールキャラかーおもしろくなるだろうなー (2022年6月12日 20時) (レス) @page46 id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 抹茶は正義!さん» 出来るだけオールキャラ出したいので笑 (2022年6月9日 16時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶は正義! - 主人公ちゃん疲れるよねーそりゃ過去に来ちゃったんだから (2022年6月9日 0時) (レス) @page40 id: 8015273a92 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:翡翠 | 作成日時:2022年5月18日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。