検索窓
今日:33 hit、昨日:27 hit、合計:220,450 hit

175話 ページ36

「うっ、ぐぅ…わ……最悪じゃん」



トンネルを出た瞬間、今までもあった生臭い匂いがより一層濃くなり顔を歪める。

そこには、今まで見てきたどんなものよりも悲惨な光景が広がっていた。



舗装されておらず荒れた地面に投げ出された人間の体の一部。

それが大量に散らばり、中には髪の毛や目玉のようなものもある。

こんなにもなれば当たり前だが、辺り一面が赤黒く染まっている。この世の地獄か?



その中心に立つのは、血と同じ赤黒い肌をした人型の呪霊。



私や真人のような呪霊ではなく、どちらかといえば少年院や八十八橋と同じタイプの奴。



「なぁ〜そこの呪霊」



タートルネックを伸ばして狗巻のように鼻まで上げて、少しでも匂いが気にならないようにする。

呪霊は私の声に振り向くが、興味を持つことはなくただじっと立っている。


私は呪霊に敵対されないから、便利なんだよな。



「お前が件の特級か?」



呪霊の傾向からして、まず見た目から特級確定だ。

ギョロリと双眸が動くも、やはりなにもしてこない。



「ま、いいや。どうせ祓うし」



呪霊が反応する間もなく、距離を詰めて頭を膝で蹴飛ばした。胴と離れた頭が勢いよく飛んでいって、そのうち消滅した。



「祓除完了かな。片付け大変そうだなぁ」



周りの惨状を眺めて呟く。

私はなにもしないけど、後から来た窓の人が大変だろう。


……ご遺体だけでも一箇所に集めておこう。



「あれとそれが同じで…あれもそうだな」



不幸中の幸いというべきか、グシャグシャに潰れたものなどは無く、全て原型をとどめている。

それがあの呪霊特有のやり方だったんだろう。

ただ、木の陰に隠れたり少し土に埋まってるものなどは見つけにくいので勘弁してほしい。

木の陰から人間の足が覗いてるのどこのホラー映画なの。



同じ人間と思われるパーツを一つずつ集めていき、残り一つの頭を探す。


見つけたと思って近付くと目が合う。びっくりした。

ゆっくりと持ち上げる。
ずっしりと両手に重さが伝わる。


そのままにすると可哀想なので、そっと瞼を閉じた。

176話→←174話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (222 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
405人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

翡翠(プロフ) - ぽんちょ。さん» コメントありがとうございますm(_ _)mそうです!!まんまその二人をイメージしていただければと思います!w (2022年4月8日 1時) (レス) @page50 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちょ。(プロフ) - 空と蛍ってまさか原神ですか?‪w‪w‪w(全然違ったらごめんなさい!) (2022年4月7日 15時) (レス) @page21 id: e374329c1d (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 向月葵さん» コメントありがとうございますm(_ _)m誰かに伝わればいいなと思いながらネタを混ぜているので嬉しいです!w (2022年3月21日 23時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - ストーリーの構成とか、原作との混ぜ方とかが全く違和感なくていつも楽しく読ませていただいてます。七不思議2番は少し笑っちゃいましたw (2022年3月20日 23時) (レス) @page40 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:翡翠 | 作成日時:2022年3月3日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。