175話 ページ36
「うっ、ぐぅ…わ……最悪じゃん」
トンネルを出た瞬間、今までもあった生臭い匂いがより一層濃くなり顔を歪める。
そこには、今まで見てきたどんなものよりも悲惨な光景が広がっていた。
舗装されておらず荒れた地面に投げ出された人間の体の一部。
それが大量に散らばり、中には髪の毛や目玉のようなものもある。
こんなにもなれば当たり前だが、辺り一面が赤黒く染まっている。この世の地獄か?
その中心に立つのは、血と同じ赤黒い肌をした人型の呪霊。
私や真人のような呪霊ではなく、どちらかといえば少年院や八十八橋と同じタイプの奴。
「なぁ〜そこの呪霊」
タートルネックを伸ばして狗巻のように鼻まで上げて、少しでも匂いが気にならないようにする。
呪霊は私の声に振り向くが、興味を持つことはなくただじっと立っている。
私は呪霊に敵対されないから、便利なんだよな。
「お前が件の特級か?」
呪霊の傾向からして、まず見た目から特級確定だ。
ギョロリと双眸が動くも、やはりなにもしてこない。
「ま、いいや。どうせ祓うし」
呪霊が反応する間もなく、距離を詰めて頭を膝で蹴飛ばした。胴と離れた頭が勢いよく飛んでいって、そのうち消滅した。
「祓除完了かな。片付け大変そうだなぁ」
周りの惨状を眺めて呟く。
私はなにもしないけど、後から来た窓の人が大変だろう。
……ご遺体だけでも一箇所に集めておこう。
「あれとそれが同じで…あれもそうだな」
不幸中の幸いというべきか、グシャグシャに潰れたものなどは無く、全て原型をとどめている。
それがあの呪霊特有のやり方だったんだろう。
ただ、木の陰に隠れたり少し土に埋まってるものなどは見つけにくいので勘弁してほしい。
木の陰から人間の足が覗いてるのどこのホラー映画なの。
同じ人間と思われるパーツを一つずつ集めていき、残り一つの頭を探す。
見つけたと思って近付くと目が合う。びっくりした。
ゆっくりと持ち上げる。
ずっしりと両手に重さが伝わる。
そのままにすると可哀想なので、そっと瞼を閉じた。
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翡翠(プロフ) - ぽんちょ。さん» コメントありがとうございますm(_ _)mそうです!!まんまその二人をイメージしていただければと思います!w (2022年4月8日 1時) (レス) @page50 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちょ。(プロフ) - 空と蛍ってまさか原神ですか?www(全然違ったらごめんなさい!) (2022年4月7日 15時) (レス) @page21 id: e374329c1d (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 向月葵さん» コメントありがとうございますm(_ _)m誰かに伝わればいいなと思いながらネタを混ぜているので嬉しいです!w (2022年3月21日 23時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - ストーリーの構成とか、原作との混ぜ方とかが全く違和感なくていつも楽しく読ませていただいてます。七不思議2番は少し笑っちゃいましたw (2022年3月20日 23時) (レス) @page40 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年3月3日 21時