170話 ページ31
その場は通報して多少の事情聴取、それから私達は一度学校へ戻ることになった。
佐々木先輩は腰が抜けて歩けないので私がおぶっている。
肝試しで忍び込んだ高校生ということでちょっとアレな顔をされたが、一部の人は私に「なんだこいつ」みたいな視線を向けていた。
やっぱり身長? 身長がダメなのか?
「毎回そんな目で見られると落ち込むな。まぁ様式美、様式美」
「何言ってんの?」
悠仁にツッコまれる。
あのとき悠仁は穴の下を見ていない。
私は佐々木先輩の懐中電灯に照らされたソレが見えたが、悠仁の位置からはちょうど影になっていたらしい。
警察と話をしたときに驚いていた。
悠仁も井口先輩も、そりゃあもう見たことない顔してた。
いや、いくら
にも関わらず、ハッキリと目にしておいて何も感じていない私に警察は怪訝な目を向けた。
ああいうの見慣れてるんです。
なんて言える筈もなく、「ホラー映画とか、よく見るからですかね…」とか下手くそにその場を誤魔化した。
オカ研ですし、その辺は。
「佐々木の両親に連絡入れたら、学校まで迎えに来るって。俺も……迎え頼んだけど、オマエらは?」
まだ声が震えている井口先輩が、普通に歩く私達に聞いた。
…悠仁もやっぱり大概おかしいか。
直接は見ていないが、それは井口先輩も同じだ。
「あー…私は自分で帰れます」
それに悠仁が「俺も」と続いた。
「明日は部活…っていうかこの調子だと学校来れないよね、佐々木先輩」
「…そうね…明日は部活無しで…帰っていいわよ」
私の背中で、井口先輩の三倍くらい震えた声で言った。
「体冷たいよ佐々木先輩。ちゃんと風呂入って暖かくして寝るんだよ」
「…母親みたいね」
んふふ、と笑った。
笑顔が戻って良かった。
学校に着いたら既に先輩方の親がいて、ついでに先生とも少しお話をして帰って行った。
二人は今の状態では酷だと思われたのか知らないが、私と悠仁は「危ないことはあまりしないこと」と軽く注意をされ、帰路についた。
「悠仁は怖くないの?」
「…んー、怖いよ。
でもなんか、先輩があんな感じだったからさ」
「ああ、私もそんな感じかな」
「やっぱ似てんな、俺ら」
「…そうね」
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翡翠(プロフ) - ぽんちょ。さん» コメントありがとうございますm(_ _)mそうです!!まんまその二人をイメージしていただければと思います!w (2022年4月8日 1時) (レス) @page50 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちょ。(プロフ) - 空と蛍ってまさか原神ですか?www(全然違ったらごめんなさい!) (2022年4月7日 15時) (レス) @page21 id: e374329c1d (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 向月葵さん» コメントありがとうございますm(_ _)m誰かに伝わればいいなと思いながらネタを混ぜているので嬉しいです!w (2022年3月21日 23時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - ストーリーの構成とか、原作との混ぜ方とかが全く違和感なくていつも楽しく読ませていただいてます。七不思議2番は少し笑っちゃいましたw (2022年3月20日 23時) (レス) @page40 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年3月3日 21時