150話 ページ11
不良達に淡々と告げる男の人。
なかなかどうして、法律に詳しい。
「ちなみにその握り拳が振り下ろされた場合、傷害罪、もしくは暴行罪が成立するが_」
「うるせェ!! 女一人増えて何が変わんだよ!! テメェらは黙って金ぇ出せ!!」
私が腕を掴んでいたのとは別の奴が、男性に拳を向けた。ギリギリで蹴っ飛ばして止めたが。
路地の奥に思い切り吹っ飛んで気を失った男を見て、他の不良は狼狽える。
「あ、これもしかして傷害罪かな」
ちらっと男性を見て言う。
「いや、侵害に対して自分又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は正当防衛だ。傷害罪にはならない」
「よかった」
よく見たらスーツの襟に弁護士バッジがついていた。まさかの弁護士さんだ。どうりで法律に詳しい。
なんとなく、敵に回しちゃだめなタイプな気がする。
「あー…で、オマエらどうすんの? まだやるってんなら
「くそっ……覚えてろよッ!!」
「よくそんなかませ雑魚キャラみたいな捨て台詞吐けたもんだなパンピーめが」
倒れた一人を連れて、不良少年共はそそくさと逃げて行った。
「柄にもないことしちゃったよ」
人助けは性に合わない。
「助かりました。なにか礼を」
「ああいいですよ別に。私がここに来たのもたまたまなので」
律儀な人だ。
しかしあの不良共は弁護士というのがなんたるかを知らず、カツアゲに及ぶような頭の持ち主だったらしいな。
今回は見逃したがそのうち捕まるだろう。
都会は怖いねえ。
「それよりお兄さん、お疲れの様子ですね」
目の下の隈が酷い。
表情も明るいものではないが、それはこの人がもともとそういう顔なだけかもしれないので言わない。
弁護士って忙しいのかな。
「お兄さんという歳でもないですが_」
と言い終わる前に、私の腹が鳴いた。
うへ……生理現象とか本格的に人間だわ。
弁護士のオニーサンは一瞬目をパチクリさせて、少し笑う。
「私飯食いに出たんだった…」
「…では礼になるか分かりませんが、昼食を奢りますよ。なにもしないのは性に合わない」
「マジでえ?」
もともと五条の金ではあるが、奢られて悪い気はしない。
長々とお礼を言われるより簡単でいい。
ありがたく奢られることにした。
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翡翠(プロフ) - ぽんちょ。さん» コメントありがとうございますm(_ _)mそうです!!まんまその二人をイメージしていただければと思います!w (2022年4月8日 1時) (レス) @page50 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちょ。(プロフ) - 空と蛍ってまさか原神ですか?www(全然違ったらごめんなさい!) (2022年4月7日 15時) (レス) @page21 id: e374329c1d (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 向月葵さん» コメントありがとうございますm(_ _)m誰かに伝わればいいなと思いながらネタを混ぜているので嬉しいです!w (2022年3月21日 23時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
向月葵(プロフ) - ストーリーの構成とか、原作との混ぜ方とかが全く違和感なくていつも楽しく読ませていただいてます。七不思議2番は少し笑っちゃいましたw (2022年3月20日 23時) (レス) @page40 id: b81c3ee352 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年3月3日 21時