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139話 ページ46

真人の残穢がある死体。

……祓った?
呪霊は、祓った。


聞き間違えじゃなければ、五条はそう言った。



「だからさ、Aの知り合いだったりしないかなーって。
ソイツと会話した記録は無いけど、人型呪霊同士、通じ合うもんとかないの?」



その後の五条の言葉が耳を通り抜ける。



「A? …おーい、A〜」



目の前で振られる手に気付いてようやく思考が戻る。

五条と家入さんは不思議そうな顔で私を見ていた。



「…ごめんごめん、こんなん見たことなかったから放心してた。…耐性無いんだよね〜エグいやつ」



おそらく五条は、いや、家入さんも私のことを疑っている。

犯人の呪霊と仲間であれば私を敵と認識するのかな。

そんなこと、今の私にはどうでもいいけど。



「マジで? 呪霊なのにウケる」

「…じゃあ君は、これをやった呪霊とは関わりがないと。そう思っていいんだな?」



茶化す五条とは真逆で、家入さんは不安を孕んだ探るような視線を向けてくる。



「そうだね。心当たりは無いかなぁ…てかその子がもし喋れるなら会ってみたかったんだけど」

「そうか。安心したよ」

「いや、でもここで私が嘘ついてる可能性もあるじゃん? そんな簡単に安心って」

「嘘ついてる奴がそんなこと言わないでしょーってことだよ。さ、もうAに用はないから、帰っていいよ」



嘘は、ついてる。

心当たりどころの話じゃない。


五条に押されるまま部屋を出て、ゆっくり歩いて外に出た。





周囲に誰もいないことを確認して、木陰にしゃがむ。



「…あれは違う、真人じゃない。
真人は死んでない。死ぬはずない。死んだらだめ。だって、真人は待ってるって言ってた」



でもあれは確かに真人の残穢だった。

そしてその呪霊は祓われたと五条は言った。



「誤情報だよね、真人…はは、はははっ」



笑える。
涙が零れる。


涙ってのは、呪霊だろうがなんだろうが一度流れたら止まらないもので。



「真人はもういない。あれは真人の残穢だった。真人の術式だった」



失った悲しみと、これじゃ物語はどうなるんだという不安。



「なんとかしないと、私が」



物語を知っている
ただ一人の私が。


真人がいなくても

大丈夫なように


なんだってする


人は殺せないけど
私が、真人の代わりにならなきゃ。



私はもう、どうすればいいんだろ。

補足(出来れば読んでください)→←138話 -祓-



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翡翠(プロフ) - とぅにさん» なんのことかと一瞬考えましたが吉田ですねwwちょくちょく別作品キャラおります。 (7月3日 2時) (レス) @page22 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
とぅに(プロフ) - ヒロフミくん出てきてびっくりしました☺️☺️ (7月2日 23時) (レス) @page21 id: 76d074d926 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 水泳進化人さん» コメントありがとうございますm(_ _)m返信遅れて申し訳ないです。自分が読みたかった話を書いて、好きだと伝えてくださる方が多く、私と同じ方が他にもいたんだなととても嬉しく思います…!! (2022年3月3日 20時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 好きです。 (2022年2月25日 14時) (レス) @page40 id: 30ca69ad2f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございますm(_ _)mとても嬉しいです! (2022年2月7日 22時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年2月3日 2時

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