136話 ページ43
「ん〜〜寂しい」
突然だが今、視界以外の体の感覚がなくなっており、それでいて真っ暗で何も見えない空間に一人でいる。
呪力を感じることは出来るので少し探ると、ぼんやりとだが檻のようなものに囚われていることが分かる。
檻というより、鳥籠?
普通の建造物や家具であれば呪力では分からないが、この鳥籠には呪力がこもっている。
というより、呪力で形作られている。
_お察しの通り、ここは呪霊の生得領域。
資料にあった学校に入った瞬間、狗巻を置いて私だけ囚われてしまった。
六眼のような術式は使えないので予想になるが、呪霊はおそらく教師の立場にある者だけを襲っているのだろう。
こうなってからかれこれ三十分。
さしずめ、囚われの姫……え? 姫ですが? なにか?
自分で抜け出すことは出来るが、せっかくの任務なので狗巻に危険が訪れない限り任せてみようと思う。
呪力を探って狗巻の気配は把握できるから、いつでも助けに行ける。
と言っても今の状況は私が助けられる側。
「どことなく、この状況に既視感」
真っ暗な空間に一人で囚われている。
…あ、あ〜〜〜〜
「獄門疆!」
あれは骸骨に囲まれてたし、漫画だけでは真っ暗かどうか分からないけど。それに私は自力で抜け出せる。
とはいえ似てなくもない状況じゃね? ウケる。
「期待してるよ、狗巻!」
そんなようなことを五条は言ってたなと、記憶を引き摺り出して叫ぶ。
何か返ってくるわけでもなく、反響もしないので静寂。
「…とかなんとか言ってな」
言ってから静寂が恥ずかしくなって誰に聞かせるでもなく誤魔化した。
五条、獄門疆に一人であれってどんな気持ちなんだろう。
骸骨いるから寂しくないのかな?
なんてことを考えているうちに、また十分が経った。
「私5億年ボタンとか耐えられないタイプだわ」
一人で何も出来ない空間に長い時間いるのは、こう、いろいろとくるものがある。
術式は使えるので手遊びとかしていたが、それも最初の十分で飽きた。
「私ってめちゃくちゃ飽きしょ__」
「『開け』」
その声と共に
ガコッ
と音がする。
鳥籠の扉が開くのと同時に、真っ暗で何も見えなかった周囲が光を取り戻す。
扉の向こうに立っている見慣れた人影に、少し心が軽くなる。
「……いぬま」
「ヅナ゛マ゛ヨ゛!!」
「うおー」
飛び込んでくる狗巻を受け止めて、手に触れる液体に気付いた。
「…血」
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翡翠(プロフ) - とぅにさん» なんのことかと一瞬考えましたが吉田ですねwwちょくちょく別作品キャラおります。 (7月3日 2時) (レス) @page22 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
とぅに(プロフ) - ヒロフミくん出てきてびっくりしました☺️☺️ (7月2日 23時) (レス) @page21 id: 76d074d926 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 水泳進化人さん» コメントありがとうございますm(_ _)m返信遅れて申し訳ないです。自分が読みたかった話を書いて、好きだと伝えてくださる方が多く、私と同じ方が他にもいたんだなととても嬉しく思います…!! (2022年3月3日 20時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 好きです。 (2022年2月25日 14時) (レス) @page40 id: 30ca69ad2f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございますm(_ _)mとても嬉しいです! (2022年2月7日 22時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年2月3日 2時