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125話 ページ32

これ以上力を加えて帳が上がったらいけないので、パンダが開けたと思われる穴から侵入する。

凄まじい呪力の圧を感じる。
そのおかげで場所の特定は簡単だ。


空を駆けて向かう途中、地面に立つ夏油を見つける。



「悟に呼ばれたのかい?」

「ヒーローは遅れてやって来るもんだろ」



上を通り過ぎながら短い会話を交わした。

私から夏油に特に何かするわけでもなく、すぐそこの建物に見える里香ちゃんの元へ急ぐ。

確か夏油にやられた三人を運んでいるはず。



「…おッッ…と、危ないよ」



近付けば敵とみなされ里香ちゃんに攻撃されるが、軽く(くう)を蹴り跳んで避け、三人の寝かされている場所に着地する。

五重塔みたいな建物のワンフロア。

乙骨も私に気付く。
反転術式で治療をしていたらしい。

パンダはいいとして、狗巻は喉や全身の骨、真希ちゃんは足がひしゃげて腹部も負傷している。

当然、放っておいたら命が危ないだろう。



「Aさん…」

「乙骨、私に任せて行ってこい」

「…!」



乙骨の横にしゃがみ、同じように反転術式を掛ける姿勢を取る。

が、何故か里香ちゃんが真希ちゃんを掴んで奪っていってしまった。乱暴だなぁ。

里香ちゃんは乙骨に任せるとして、狗巻に反転術式を掛ける。



『ずるい、ずるい、お゛前ばっかり!!!』



里香ちゃんは、乙骨に治療されていた真希ちゃんに嫉妬したらしい。女の子だねぇ。

でも今はそうも言ってられる状況じゃないんだよ。



「何をしている、里香」



乙骨が立ち上がる。



「その人は僕の恩人だ。
蝶よりも、花よりも、丁重に扱え…!!」



乙骨が本気で怒っているところを見るのは初めてだ。
待って? 私に攻撃したとき何も言わなかったじゃん泣くよ?


……なにより愛している乙骨に怒られた里香ちゃんは、謝り、泣きながら真希ちゃんを私の手元に戻した。

あっここに戻してくれるんだ?
原作だと乙骨のとこじゃなかったっけ、ありがとう。



『ごめんなさい、ごめんなさい!!
怒らないで…嫌いにならな゛いでぇ』

「嫌いになんてならないよ」



乙骨と里香ちゃんのやりとりを聞き流しながら、真希ちゃんに手を掛ける。痛々しい足からさっさと治してしまう。

私か乙骨かで言えば私の方が効果が上だろう。乙骨はセンスも呪力量も凄まじいものだけど、それで言えば私は体が呪力そのものだ。

乙骨は柵に足を掛け、私の方を見る。



「じゃあ…よろしくお願いします…!」

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翡翠(プロフ) - とぅにさん» なんのことかと一瞬考えましたが吉田ですねwwちょくちょく別作品キャラおります。 (7月3日 2時) (レス) @page22 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
とぅに(プロフ) - ヒロフミくん出てきてびっくりしました☺️☺️ (7月2日 23時) (レス) @page21 id: 76d074d926 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 水泳進化人さん» コメントありがとうございますm(_ _)m返信遅れて申し訳ないです。自分が読みたかった話を書いて、好きだと伝えてくださる方が多く、私と同じ方が他にもいたんだなととても嬉しく思います…!! (2022年3月3日 20時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 好きです。 (2022年2月25日 14時) (レス) @page40 id: 30ca69ad2f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございますm(_ _)mとても嬉しいです! (2022年2月7日 22時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:翡翠 | 作成日時:2022年2月3日 2時

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