119話 -百鬼夜行- ページ26
夏油が高専に侵入してしばらく経った。
今日は12月23日。
そう、皆がご存知の通り百鬼夜行の前日となる。
日没と同時に…って言ってたから、もうちょっとあるけど。
呪術師達はバタバタと騒がしい。
百鬼夜行当日は京都に行くため、私が人間であればそろそろ出向いて準備とかいろいろあったんだろうけど、それは必要ない。
ということで、それまではのんびりしていようと思う。
ハンモックにうつ伏せに寝転がり、妖怪図鑑を開く。
私の術式のためにと真人が持ってきてくれたものだ。
読み返すのは何度目だろうか。
もうほとんど内容を覚えてしまった図鑑を閉じて、仰向けになる。
やることもなく天井を眺めていると、外で大きな音がした。
「Aー！！」
「は」
懐かしい声が聞こえたかと思えば、人影が私に飛び込んでくる。
それを受け止めて、ゆっくり起き上がった。
「真人…！」
「久しぶりA！」
嬉しそうに私に頬擦りする真人は、煤のようなもので随分と汚れていた。煤って…まさかとは思ったが、気のせいだろう。
頬擦りによって私の顔にも汚れが付き、真人の顔が離れてから片手で拭う。
それに気が付いた真人が眉を八の字に曲げた。
「あ、ごめん。Aの顔も汚れちゃった」
「いや、そんなの大丈夫…だけど、マジで久しぶりじゃん」
「ははっ」
ちょっとね、と笑う真人。
そんな真人を見て、胸の奥から込み上げてくるものがあった。
力いっぱい抱きしめる。
今まで会えなかった分、ぎゅーっと。
「あははっ俺のこと大好きだね、A」
「当たり前じゃん。会えなくてまじで病みそうだったんだぞ」
実に五ヶ月分の愛を込めて抱きしめ、頭をわしゃわしゃと撫でる。
頬に触れる。柔らかい。
肩に顔をうずめて息を吸う。
「はぁ」
「くすぐったいってば」
「どこ行ってたの」
「そのうち教えてあげる」
今は教えてくれないだろうと分かっていつつも聞いてしまう。
しばらくぶりの推しがこんなに汚れて帰ってきたら心配にもなるだろう。
「久しぶりに会えたんだ。俺もしばらくここにいようかな」
「…あ、真人、それなんだけど…」
なにをしようか、とわくわくしている真人の期待を裏切るようで申し訳ないが、私はやらなければいけないことがある。
たった少しくらい、待っていてくれるだろうか。
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翡翠(プロフ) - とぅにさん» なんのことかと一瞬考えましたが吉田ですねｗｗちょくちょく別作品キャラおります。 (7月3日 2時) (
レス) @page22 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
とぅに(プロフ) - ヒロフミくん出てきてびっくりしました☺️☺️ (7月2日 23時) (レス) @page21 id: 76d074d926 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 水泳進化人さん» コメントありがとうございますm(_ _)m返信遅れて申し訳ないです。自分が読みたかった話を書いて、好きだと伝えてくださる方が多く、私と同じ方が他にもいたんだなととても嬉しく思います…！！ (2022年3月3日 20時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 好きです。 (2022年2月25日 14時) (レス) @page40 id: 30ca69ad2f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございますm(_ _)mとても嬉しいです！ (2022年2月7日 22時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翡翠 | 作成日時：2022年2月3日 2時
