113話 ページ20
「お姉さん、一人?」
と軽いノリで声を掛けてきた男。
第一声から迷子を心配するようなものではないことが分かる。
つまりナンパである。
ナンパされるのはここに来てから二回目だ。
一度目は真人と歩いていたとき。
「向かいのカフェ奢るからお茶しない?」
「マジで? 行く」
チョロいとか言うんじゃねぇぞ。
五条は置いていく。
男は私が了承したことに喜び、着いてきてと言うので従う。
私を歩道側に歩かせたり、ぶつかりそうになれば手を引いたりして五条より余程デキる男だな。私よりちょっと小さいけど。(大抵小さい)
別にカフェ奢ってもらうだけだから今後そういう関係になるかと聞かれればNOだが。
………………
ちょっと先にあった横断歩道を渡って先程のお菓子屋の向かいにあったカフェ。
そこでご馳走になり、久々の美味しい食事に満足した。
「やっぱり他人の金で食う飯は美味いな」
「それはよかった」
「うん、ありがとう。じゃ、私行くから」
食事をしつつお互いの趣味の話をしたり、なんかお見合いみたいなことしてたが、もちろん私にそんなつもりはない。
カフェを出てすぐ別れを告げた。
会話の中で自己紹介はしたが、逆にそれだけ。
お互い少しの趣味を知ってるだけの関係。
(ちなみに吉田と言うそうだ)
例え相性の良さそうな人間が出てきたとて、私は恋人なんて作る気はないが。
「Aちゃん、連絡先交換しない?」
「あー、そんくらいなら…」
多分一生使わないと思う。
追加するためQRコードにスマホをかざしていると、男の後ろに恐ろしいほど輝いている白髪の背高のっぽが見えた。
なんで目隠しを取ってるんだ。
「ちょ、やっと見つけたと思ったら何してんの!? 誰よその男!」
「でけぇ声出すな」
私の腕に絡みついてくる五条を見た吉田が完全に固まってしまった。
待て待て待て勘違いされる。
「吉田、私とコイツはそういうんじゃない、絶対に」
「そう…」
とは言っても190cm二人に挟まれる170cmちょっとの男、いじめられてるようにしか見えなくていたたまれない。
吉田は悪くない。
574人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
翡翠(プロフ) - とぅにさん» なんのことかと一瞬考えましたが吉田ですねwwちょくちょく別作品キャラおります。 (7月3日 2時) (レス) @page22 id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
とぅに(プロフ) - ヒロフミくん出てきてびっくりしました☺️☺️ (7月2日 23時) (レス) @page21 id: 76d074d926 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 水泳進化人さん» コメントありがとうございますm(_ _)m返信遅れて申し訳ないです。自分が読みたかった話を書いて、好きだと伝えてくださる方が多く、私と同じ方が他にもいたんだなととても嬉しく思います…!! (2022年3月3日 20時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
水泳進化人(プロフ) - 好きです。 (2022年2月25日 14時) (レス) @page40 id: 30ca69ad2f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございますm(_ _)mとても嬉しいです! (2022年2月7日 22時) (レス) id: 5d748230e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:翡翠 | 作成日時:2022年2月3日 2時