【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ10)

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第102話　雨降って地固まる④ ページ10

老若男女問わず被害に遭っている。

「直近の…被害が…えっと、三日前、です。双子の残ったほうが……」

「双子は一緒にやられたわけじゃないんですね」

敬語には慣れない。

「被害者に共通点はありません…住居も離れていて……こんな小さな村なので、多少関わりがあった方もいましたが…」

中には全く関わりのなかった人もいると言う。

さすが村長の娘と言うべきか、何を聞いても答えを持っていた。村内の把握は重要な役割だろう。

村長の男を横目で見ながら、部屋を出た。

「じゃあ後は俺のほうで調べます。助かりました」

感謝の意で軽く握手を交わし、玄関から外へ。

そのまま村の中へは行かず、横道を通って森の中に入った。

人目が無いことを確認し、村全体を包むくらいの円を発動した。

「う～ん…これは……」

なにも見えない、感じない。

人や家畜が移動する気配はあるが、呪霊らしき気配は全く無い。

(さーて、どうしたものかなぁ…)

＿＿＿＿＿＿

結局、夜まで張っていても呪霊は全く現れなかった。

話によると、ただ一つ分かっているのは“三日置きに犯行に及んでいる”ということ。

呪霊の行動に意味や理由を見出だすなんてのは無駄なことだが、分かることがあるならそれは最大限利用すべきだ。

「予想されるのは今夜。その被害が出る前に」

ターゲットとなった村人の前に姿を現した瞬間、祓う(ころす)。

事件の多発によって村人の遠出は一時的に制限しており、円をそこまで広げなくていいので大いに助かった。

かといって俺から離れたところに現れると間に合わないため、木偶人形を三体作ってそれぞれ別の場所に配置した。

一体一体は一級呪霊を単独で相手できるほど強くはない。

しかしそれが破壊されたとき俺に伝わるから、簡単に言うと監視カメラみたいなものだ。

「本当に面倒な任務寄越したな」

これだけ長時間でも枯れない自分の呪力に、一人苦笑した。