【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ8)

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第100話　雨降って地固まる② ページ8

電車を降りてからもかなり歩き、やって来たのは目的の村。

周りを森に囲まれていて、家もかなり古びている。

住人には高齢者が多く、ぱっと見で若者が少ないように感じた。

舗装もされてない道を歩き、様子見する。
余所者の俺を見ても何かしてくるわけでもなく、ただ視線だけ送る。

(居心地が悪い)

ただ歩いているだけだとどこか別の時代に来てしまったかのような違和感を覚えるが、格子の隙間からチラッと家の中を見たらテレビや電子レンジなどの家電は揃っている。

逆に不釣り合いでそれも違和感。

ただ暮らしにおいて不都合は無いように見えた。

そんな感じで少し歩くと、村で一番大きな家の前に着いた。平屋だ。

木造の塀をくぐり、和風建築にこれまた不釣り合いなインターホンを鳴らす。

しばらくして、引き戸が音を立てて開かれた。

村長っぽい人かと思いきや、それに反して出てきたのは若い女性だった。

他の村人より多少は綺麗な身なりをしている。

「東京都立呪術高等専門学校から派遣された、華御という者ですが」

事前情報として伝えられていると聞いたので、隠すことなく自己紹介。

「西園寺さんでよろしいですか？」

「ぁ…はい、そうです…」

内気そうな女性は、この村の長である“西園寺”だと肯定した。

「あなたがこの村の長ですか？」

それに対し西園寺さんは顔を下に向ける。

「ぁの…それは…父のほうです…」

弱々しい声でそう言う西園寺さんは、後ろ…家の中をしきりに気にしているようだった。

「ではお父上はどこにいらっしゃいますか」

西園寺一家の事情なんて知らないが、とりあえず村長に聞き取りをしなければ話は進まない。

「えっと…父は、寝室に…」

ちらちらと家の中に目を向けている。
立て続けの事件で疲れて眠っているのだろうか、と考える。

「では話を通していただけますか」

「ぁ…その…来て、いただけますか」

ドアに手を掛けて、今度は俺を真っ直ぐに見た。

「…分かりました」

お邪魔させてもらうことにした。