【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ6)

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第98話　呪術甲子園② ページ6

「…あ、飛んでる」

一瞬影がかかって何かと上を向いたら、グローブをつけて箒で空を飛ぶ桃に気付いた。

人数の関係で外野手一名のみ呪術の使用が許可されていた。かなり厄介な守備だ。

そして東京校が押してきたところで、真希が打ち上げた良い球をやはり桃がキャッチした。アウトだ。

「うわあぁあせっこ！！」

「おかか！！」

「ははっ」

口々に京都校を罵るのを見て思わず笑う。
野球としてはどうかと思うが、呪術の学校っぽくて面白いだろう。

ということで次は京都が攻めだ。

「またなんか喋ってるなぁ。憲紀の二の舞になりそうだ」

内容は聞こえないが、悠仁と葵が話している。

と思っていたら案の定ピッチャー真希の全力投球が葵の顔面にヒット。

「とっ……東堂！！しっかりしろ！！」

悠仁は葵を心配しているようだが、周りの生徒…京都校からでさえナイッピーコールされていた。

めちゃくちゃ嫌われている。

「ナイッピー」

俺も言っておいた。

再び攻守交代。

棘が持ち前の足の速さで塁に出て、次は悠仁がバッターだ。

ピッチングマシーンメカ丸から放たれた球を、振りかぶって打ち上げた。

「おお」

「入ったな」

飛んでいく球を桃が捕り逃し、見事ホームランが決まった。

「東京の勝ち！！」

「しゃけしゃけーっ！！」

帰って来た棘とハイタッチ。
まあ俺は何もしていないが。

東京校のみんなは嬉しそうで、京都校は悔しがる。

というわけで、なんだかんだあった今年の交流会だが東京校が勝利を収めたのだった。

一応俺も東京の教師なので喜ぶ。
ベンチに座って、嬉しそうだったり悔しそうな皆を眺めた。

「三那人～っ！」

「どうした」

勝って嬉しそうな悟だったが、スマホをちらっと見たあと俺の方へズカズカ歩いてきた。歩幅が広い。

「任務、入ったよ！」

「は？」

突然のお仕事宣言に、楽しいこと続きで一瞬耳を疑ってしまった。

しかし呪術師とは本来それが普通なのだ。