【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ47)

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第137話　違和感ページ47

(なんだ！？
殴られたのか！？

三那人に！！！)

一瞬、ほんのコンマ数秒意識を飛ばした。

その一瞬で三那人は俺の腕から抜け出して、特級のその更に後ろまで後退した。

やはり死にたくないと思って気が変わったのかと思ったが、それなら攻撃する必要はない。

特級に指示を出し、ストックも戻して捕まえようとする。

が、特級の攻撃を華麗に避け、ストックもすぐに全滅。

「なんだよ、急に！！」

俺は自分が笑っていることに気付いた。
期待していた。三那人はもっと強いって。

折れた両足と片腕を術式でカバーし、躊躇なしに飛び回っている。特級のほうが押されている。

ストックは全て出しきった。
俺も自ら捕まえに行く。

地面から、トンネルの壁から、上から。

至るところから襲ってくる大量の木の根の隙間を縫って、三那人の背後から変形させた腕で捕まえにかかる。

「ッ！？」

ぐるんと振り向いた三那人は、虚ろな目をしていた。

降ってきた根に押し潰されるが、すぐに抜け出して再び近付く。

「意識が無いのか！？」

特級と協力しての攻防戦。

三那人の拳を受け止めて、入れた蹴りは受け止められて、カウンターで殴られて。

お互いに術式全開の全力勝負。

特級はいつの間にかいなくなっていた。

「三那人！！！領域展開もしたんだろ！！！やってみろよッ！！！」

興奮状態で、周りのことなど目に映らない。

出せる力を全て出して三那人と戦いたい。

途中、攻撃が当たった三那人の服が破れる。

「…っなんだよそれ！！」

左腕の黒い呪いが右半身まで広がっていた。

そのせいでほぼ全身から溢れ出ている、ありえない量の呪力。

それでも尚止まらない攻撃。

「呪力欠で死ぬなよ！？」

しかし三那人には意識が無い。

(術式が暴走している？)

「がッッ」

横から飛んできた根を避けられず、顔に当たった。

また目の前が白くなる。
それを皮切りに攻撃の雨が降りそそぐ。

(…これはっ…

ああ、これは、

あのときと同じ)

虎杖悠仁と七三術師、奴らと戦ったときと同じ

(三那人に殺されるなら、俺は)

でも、今ならまたできる

「…領域、てんか＿」

口の中で印を結ぼうとした瞬間、それを分かっていたかのように目の前に迫る拳。

「ッッ」

そのまま殴り飛ばされて、領域の展開は叶わなかった。

(っはは！これは本格的に、マズい)

三那人は止まらない。