【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ41)

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第131話　予感ページ41

少しずつ涼しくなってくるこの時期、単独任務に就かされていた。

“就かされていた”というのも、今日は俺が副担をしているクラスの一年三人組が別の任務に就いている。

当初、俺はそれに同行する予定だった。

しかし当日…今日になって新しく任務が割り当てられた。

それだけなら特に普段と変わらない。
呪術師なら突然任務が入るのも当たり前のことだ。

でもなぜか、今日に限っては嫌な予感がしてたまらない。

なにに対してなのかは分からない。
三人に何かが起こるのか、それとも自分か。

それがなんなのか分からないまま、腹の奥で渦巻く嫌な感じを無視して車に乗り込んだ。

「よろしく潔高」

今回の担当は潔高。
任務の詳細はまだ伝えられていないので、タブレットを受け取る。

慣れた手つきでスワイプして読む。

「ゲ、これ俺が苦手なやつ…」

端的に言うと、事故原因の調査。
それも無人の場所で聞き込みができない。

もとは普通のトンネルだった場所が、ある日を境に交通事故が多発しだした。

と言っても一週間弱…それくらい前のこと。
それだけ聞くとただ偶然事故が重なっただけのように思えるが、どうやらそうでもないらしい。

「まるでなにかに押し潰されたかのようになっていたそうです」

事故にあった車は全て、普通の交通事故ではありえない形に潰れていた。

事故現場の写真を見ると、上から潰れているもの、横から挟まれたように潰れているもの、ときにはそれが重ねられていたりもしている。

「なんにしろ同じ奴の仕業で確定か」

生存者はいない。

多発どころの話じゃないだろう。
通った車が全滅しているんだ。

「もともと通りの少ないトンネルだったそうで、それだけが不幸中の幸いでした」

事故発生数は十三。
普通に使われているトンネルで、一週間弱で十三なら確かに少ないほうだ。

一回でも被害が出て閉鎖になっていなかったのは、この嫌な予感に繋がるのか、否か＿＿

「着きました。ここが○○トンネルです」

タブレットから目を離し、外に出る。

なかなかどうして、近くに住居が数軒。

「もっと山奥の古びたトンネルだと思ってたな」

写真に写るトンネルの壁がボロボロだったのは、事故の影響だったらしい。

「比較的最近できたトンネルですね」

封鎖された入り口のコンクリートは、それはもう綺麗なものだ。

ここで事故があったなんて思いもしない。