【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ38)

今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:10,323 hit

第129話　帰ってきた東京ページ38

「それで？なんか言いかけたのに無視して通話ブツ切りしたって？」

だはははと床に転がって大笑いする呪術師最強を足蹴にして、けーくんに近付く。

「ねぇけーくん、そんな面白かった？」

「五条さんはこういう人です。あなたも知っているはずでしょう」

報告書を書くついでに、あった出来事を話しただけ。メカ丸のことは伏せたが。

それでこれだ。

正直俺が術に掛かったことを笑われると思っていた。

直哉と直接面識があるのかは知らないが、悟はただ禪院が雑に扱われたことに笑っているのだろう。

そんな俺達のところに、今訓練を終えたのであろう四人が通りかかった。

「五条先生！？なにしてんの？」

腹を抱えて笑う悟に純粋に驚く悠仁と、逆に冷ややかな視線を送る恵、真希、棘。

「ねぇちょっと、聞いて、聞いてほしいんだけどっ」

笑い混じりで俺の話したことをそのまま話し始めた。

「…私は知りませんよ」

けーくんは我関せずな顔で出て行ってしまった。

無慈悲だ。

「はぁ？オマエ、アイツに会ったのかよ」

「うん…？」

無慈悲なけーくんの遠ざかる後ろ姿を見ていたら悟の話を聞いていなかったのだが、突然真希に肩を掴まれて振り返った。

「女になってたんだろ？何もされてねぇか？怪我とかの話じゃねぇよ、アイツ女を尻でしか見てねぇだろ」

「あぁ、確かに『顔と胸も申し分ない優良物件やわぁ』とか言ってたかな」

「それ真似？真似したの？」

悟のツボにハマってしまって、再び爆笑し始めてウザい。

「他は？それだけか？あのクズ全っ然変わんねぇな。テメェが刺されて死ねってんだよ」

真希は俺の肩を包み込むように持ち、椅子に座らされた。

普段手厳しい真希にめちゃくちゃ優しくされてほろり。

「いや俺は大丈夫だって。むしろ男に戻ったら急に態度変えて面白かったよ」

「よく分かんねぇけど、大変だったんだね」

「少し休んだ方がいいですよ」

何故かみんなに気遣われてまたほろり。
それだけ直哉のイメージが悪いのか、はたまた俺がそれだけ疲れているように見えるのか。

本当はもう少しいろいろ言っていたが、これ以上は真希が本気で禪院家に乗り込みに行きそうな勢いだったので言わなかった。

真希は相当直哉を嫌っているらしい。