【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ27)

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第118話　共同任務④ ページ27

「…」

別れて行動を開始してから数時間。

人のいない森の中、二級くらいの呪霊とそれに群がる低級呪霊を術式を使うまでもなく祓っていく。

人の目がない場所を選んで手袋を外して集めているが、愛知はほぼ半分が森林だったりするので都会よりは楽だった。

「なんで俺がこんな面倒なことしてるんだか…」

あまりにも多すぎて少しイライラ。

ドカーンと術式で一掃しようかな、と思い始めたころ、後ろから近付く大きい気配に気がついた。

「は？」

それが自分に向かって倒れてくる気がして、ほぼ条件反射で避ける。

すぐ後ろを振り向くと、デカいナメクジのような呪霊。

呪力自体は弱く、特級ではない。
自分じゃ満足に動けもしない。

しかし俺が注目したのはそこではない。

「あー、君かな？大元は」

ナメクジの体のあちこちから、いろんな等級の呪霊が次々放出されている。

まるで溜まった膿を絞り出すかのように。

「おお…いや、これはさすがにキモいかも」

寄ってくる呪霊達を祓いながら、すかさず悟に通話を繋ぐ。

声を聞くより先に、この状況を簡潔に。

「原因、見つけたかもしんない」

＿＿＿＿＿＿

ナメクジは真っ二つにして祓った。

特級は運良く二体とも悟のほうに出たらしく、俺はとにかく残党狩りに徹する。

術式も使ってどんどん祓っていく。

そうして日が暮れる頃、ふと悟の呪力を感じた。

「お疲れサマンサー！……うわ、なにしてんの」

「悟」

手袋は外したまま地面に寝転がった俺に、猫のごとく群がる蠅頭。

「一回やってみたかったんだよね」

「キモいよ。ほら起きてー！」

「あ」

悟に全て祓われ、無理矢理引っ張り起こされたせいで少し顔を顰める。

「特級どうだった？」

「んー雑魚。ヨユーだった」

「だろうな、悟なら」

特級二体と戦った筈の悟だが、無傷。

全く消耗もしておらず、特級呪術師の…否、悟のヤバさを再度実感した。

「それにしてもあっさりだったね」

「原因も簡単に見つかって良かったじゃん」

特級が俺のほうに出ていれば話は別だっただろうが、俺がやったのはナメクジだけ。

ただ悟側より呪霊の数が多かったのだが、特に問題は無かった。

「どうせ京都行こうとか考えてんでしょ」

「分かる？」

「そりゃそんな荷物持ってればね」