【嗜好・興味：呪霊】.3 (ページ23)

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第114話　愛別離苦⑦ ページ23

「まあそういうわけで、君達が死ぬと俺はつらいよって言いたかったんだけど」

友達を傷つけた呪霊に対して呪術師がこんなこと言うのはいけないんだろうが、それが事実だ。

友達として、仲間として、既に大切に想ってしまっている。

『死にませんよ、私達は』

「…ん？」

一瞬ふわっと良い香りがしたかと思うと、小さな白い花が髪に通された。さながら髪飾り。

『似合っていますよ』

「えー、そう？」

少し照れ臭い。

「……あ、そうだ。傑」

「どうした？」

傑は、さっきまで漏瑚のいたビーチチェアに座っていた。

「呪霊のみんなって…名前、どういう字？」

今更な気もするが、口に出して呼ぶだけだからどういう漢字を書くのか聞いたことがなかった。

呪霊達の全てを知りたい俺には重要なことだ。というか、名前なんて初歩的なことだ。

「そうだな……」

傑は少し考えて、その辺の枝を拾って砂浜に文字を書く。

「漏……瑚…へー、こういう字なんだ。水っぽいな、火属性なのに。

……これは？」

読めないものは傑に聞く。
まるで小学校のようだ。

「陀艮だよ」

「あ、へーそうか。分からなかった。

これはハナ……花…御……花御！？ニアピン！？すごーい！」

俺の苗字である“華御”と、“花御”。
ハナが難しいか簡単かの違い。

俺もなんとなく華御、と地面に書いた。

「君はカゴだろ」

「なんだよ、そういうんじゃないじゃん」

「それで、これが真人」

ザリザリと書いていく。

「おー、真の人ね。面白い名前」

人間を偽物と言い、呪霊こそが人間と言う。
そんな呪霊にはぴったりな名前だと思った。

漏瑚、花御、陀艮、真人。
呪霊達の名前が並ぶ。

皆、意味も様々な良い名前を持っている。

「そうそう、俺たちには名前があるんだよ」

「真人」

俺の正面に真人が立ち、影ができる。
いつの間にか帰ってきていた。

「理性も獲得している。それでいて人間の本当の感情から生まれた儂ら“呪い”こそが、本物の人間なのだ」

「ぶぅー」

気付けば、俺の周りに呪霊達が集合していた。

四人の目に一切の迷いは無い。

「じゃあ本当に、やるんだね」

ハロウィンの渋谷にて
五条悟、封印計画。